北海道の空の玄関口・千歳で見つけた「青の神秘」と「日本の未来」

千歳市(北海道)ーー1718ニホン探索(26/1,718)

北海道の空の玄関口「新千歳空港」

ロイズの空港内チョコレート工場

ついにやってきました、北海道。1718ニホン探索の旅、26箇所目にして初の北の大地です。

新千歳空港に降り立った瞬間、肺に流れ込む空気の冷たさと透明感に「ああ、北海道に来たんだな」と背筋が伸びる思いがしました。私にとって空港は単なる移動の拠点ではありません。アメリカ留学時代、日本の価値を再認識した場所も空港でしたし、ユーグレナ時代に全国を飛び回った際も、空港はその土地の「顔」でした。中でも新千歳空港は、映画館に温泉、ロイズのチョコレート工場まである「日本一ワクワクする空港」だと断言できます。

しかし、今回の目的は空港の先。北海道の空の玄関口でありながら、今、日本の産業構造を根底から変えようとしている情熱の街、千歳市の素顔に触れることです。

訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。

Yo, 降り立つGateway, 翼の休まる場所
北の大地の鼓動、ここから始まるストーリー
千の歳(とき)を刻む街、Chitose City...
なまら気合入れていくぞ、My Home Town.
まずはここ、新千歳(CTS) 
世界と繋がる 滑走路のPiece 
空を見上げりゃジャンボがFly 
俺らの夢も一緒にHigh 
「お帰り」の声が響くロビー 
観光客、ビジネス、それぞれのホビー 
快速エアポート 駆け抜けるレール 
遅れるなよ、この街のScale

自衛隊の街、守りは堅い 
東千歳に北千歳、誇りは高い 
規律と活気、混ざり合うVibe 
この街で生き抜く、Survival vibe

なまら愛してるぜ 千歳の街 
透明な青が 誇りの証 
支笏湖ブルーに 心を染めて 
明日へ向かって 翼を広げて 
(Yeah, Chitose City! どこまでも行ける) 
(Yeah, 千の歳まで 輝き続ける)

車を走らせ 支笏湖の方へ 
日本一の透明度、嘘じゃねぇ 
樽前山が俺らを見守る 
冬の氷濤まつり、寒さも忘れる(Shibareru!) 
でも心はホット、美人の湯でRest 
このロケーション、文句なしでBest
腹が減ったら サーモンパーク 
インディアン水車、歴史のMark 
鮭が遡上する 千歳川 
命の連鎖、忘れない側(そば) 
もりもとのパン、ハスカップの甘み 
千歳バーガー 頬張りゃ高み 
卵の生産、道内ナンバーワン 
エナジー満タン、止まらないRun

冬はしばれる、道はつるつる 
だけどあずましい、この場所がGood 
「したっけ」って別れて また明日 
絆は固い、ダイヤモンドのMaster
なまら愛してるぜ 千歳の街 
透明な青が 誇りの証 
支笏湖ブルーに 心を染めて 
明日へ向かって 翼を広げて 
(Yeah, Chitose City! どこまでも行ける) 
(Yeah, 千の歳まで 輝き続ける)

工業団地、最先端のチップス 
次世代を担う、この街のポテンシャル 
ラピダスも来る、未来は明るい 
千歳市、ここが北海道の心臓部だ。 
Peace out... したっけね。


「青の神秘」支笏湖と、鮭が紡ぐ命のサイクル

市役所を訪ねる前、まずは千歳が誇る国立公園、支笏湖へ車を走らせました。 空港からわずか40分。この「都市機能と大自然の近さ」こそが千歳の真骨頂です。あいにくの強風で、鏡のような「ベタ凪」を見ることは叶いませんでしたが、それでも湖面の深淵な青——「支笏湖ブルー」の片鱗に圧倒されました。

水深約360メートル。東京タワーがすっぽり沈んでしまうほどの深さが、琵琶湖に次ぐ貯水量を支えています。ここで出会ったのが、アイヌ語で「チップ」と呼ばれるヒメマスです。海に降りず、この冷たく澄んだ湖の中で一生を終える紅鮭。6月から8月のわずかな期間しか漁が許されないこの「幻の魚」を、次はぜひ旬の時期に味わいたいものです。

また、千歳川に設置された「インディアン水車」の話には、ものづくりに携わってきた人間として心が躍りました。電力を使わず、川の流れだけで水車を回し、遡上する鮭を捕獲する。明治時代から続くこの知恵は、まさにサステナブルの極みです。時期によっては千歳水族館で見える、海から戻ってくる鮭の力強さは、地方から日本を再生しようとする私たちの挑戦と重なるところがあります。

日本一の透明度と言われる「支笏湖」

4月でも残る支笏湖周辺の雪

サケが遡上する「千歳川」

国家プロジェクト「ラピダス」が変える街の景色

観光課の方との対談を終え、次に向かったのは「次世代半導体拠点推進室」。ここには、今、日本中の、いや世界中の注目が集まっています。

トヨタ、NTT、ソニーといった日本を代表する企業が出資し、国が全面支援する次世代半導体メーカー「ラピダス(Rapidus)」。その巨大工場が、ここ千歳の地に建設されています。

「なぜ千歳だったのか?」 私の問いに対し、担当者の方は力強く答えてくれました。広大で拡張性のある平坦な土地、半導体製造に不可欠な清冽で豊富な水、そして冷却効率を高める寒冷な気候。さらに、再エネ活用のポテンシャル。これらすべてが揃っていたのが千歳でした。

驚くべきはそのスピード感です。2023年9月に着工し、2027年には量産を目指す。通常の工場建設なら5年はかかる工程を、わずか3年強で成し遂げようとしています。この「背水の陣」のスピード感は、ユーグレナ創業時の、明日をも知れぬ極限状態で営業に奔走したあの日々を思い出させます。ベンチャーマインドを持った国家プロジェクト。これこそが、今の日本に必要な熱量ではないでしょうか。

建設中の「ラピダス新世代半導体工場」

「北海道バレー」構想と地価上昇率全国1位の衝撃

このラピダスの進出により、千歳は激変しています。 最新の地価公示では、千歳市の商業地の上昇率が全国1位を記録しました。街には作業員5,000人が集まり、ホテルやオフィスビルが次々と建ち始めています。「これまでは札幌に拠点を置けば十分だった企業が、今は千歳にオフィスを構えたいと言ってくる」という担当者の言葉に、街の構造が塗り替わっていく音を聞いた気がしました。

石狩から札幌、そして千歳へと続く「北海道バレー構想」。これは単なる一企業の工場誘致ではありません。物流、危険物管理を担う周辺都市(苫小牧など)と連携した、巨大な産業エコシステムの誕生です。

サケのふるさと 千歳水族館

取材を終えて:ニホンのチカラを信じる

千歳市を歩いて感じたのは、古き良き自然・文化を守る「守りの力」と、最先端技術で未来を切り拓く「攻めの力」の見事な共生です。

アメリカに国力で遅れを取っていることに悔しさを感じた20代。ミドリムシで地球を救おうともがいた30代、40代。そして今、50歳となり「地方発!日本再生」を掲げる私にとって、千歳の挑戦は希望そのものです。

「千歳が変われば、北海道が変わる。北海道が変われば、日本が変わる。」 そんな確信を胸に、私は次の目的地へと向かいます。千歳の皆さん、熱いお話をありがとうございました。日本再生の鼓動、確かに受け取りました!

千歳市の情報まとめ

北海道の道央地方に位置する、人口約9.7万人の都市。新千歳空港を擁する「北海道の空の玄関口」として知られ、陸上自衛隊の駐屯地も置かれるなど、交通と国防の要衝である。一方で、日本屈指の透明度を誇る「支笏湖」を中心に豊かな自然が残り、都市機能と大自然が調和している。近年は次世代半導体メーカー「ラピダス」の進出により、産業構造が劇的に変化しており、日本経済再生の拠点として世界的に注目を集めている。

産業: 新千歳空港に関連するサービス業や物流業が盛ん。また、清冽な水資源を活かしたキリンビールなどの食品・飲料工業、電子デバイス関連の製造業が集積している。現在は次世代半導体の量産拠点としての整備が急ピッチで進んでいる。

文化・観光: 国立公園に指定されている支笏湖でのカヌーや、冬の風物詩「支笏湖氷濤祭り」が有名。縄文時代の世界遺産「キウス周堤墓群」など、深い歴史も併せ持つ。

グルメ: 支笏湖の「チップ(ヒメマス)」、千歳川のサケ、道内生産量1位を誇る鶏卵、地元ブランド牛「千美牛」など。空港内の充実したグルメスポットも市民や観光客に親しまれている。

今回お話を伺った方

千歳市役所 観光課 担当者様 千歳が誇る「支笏湖」の自然保護と観光振興の両立に奔走。地域の宝であるチップ(ヒメマス)のブランド化や、冬の集客を支える氷濤祭りの運営など、街の魅力を発信している。

千歳市役所 次世代半導体拠点推進室 担当者様 国家プロジェクト「ラピダス」の進出に伴い新設された部門の精鋭。企業誘致から周辺インフラの整備、人材確保の支援まで、千歳を「半導体の街」へと進化させるための最前線を担う。

筆者プロフィール

福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。