「恵みの庭」という名の約束。都市と自然が共鳴するまち

恵庭市(北海道)ーー1718ニホン探索(32/1,718)

道と川の駅「花ロードえにわ」にある「はなふる」

「4月の北海道を、正直なめていました」

今回の恵庭市訪問は、そんな私の猛烈な反省から始まりました。

「1718ニホン探索」の旅、北海道周遊。千歳から江別、白老、登別、室蘭、苫小牧と駆け抜け、私は期待に胸を膨らませて恵庭市に足を踏み入れました。恵庭といえば、言わずと知れた「花と緑のまち」。私の脳内には、色とりどりの花が咲き誇り、豊かな緑に包まれた美しい庭園の風景が広がっていました。

しかし、車窓から見える景色は、冷たい雨に打たれた少し寂しげな4月の原風景。本州では桜が散り、新緑が芽吹く季節ですが、北海道の春はまだもう少し先。花の見頃は5〜6月だと聞き、「やってしまった」と苦笑いするしかありませんでした。

そんな「裸の景色」の中で私を温かく迎えてくださったのが、恵庭市シティプロモーション課のご担当者様です。あいにくの天気で良い写真が撮れず困り果てていた私に、「市の広報写真を使ってください!」と快く手を差し伸べてくださいました。その柔軟で温かい対応に、このまちが持つ「包容力」を肌で感じたのです。

訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。

Yeah, Check 1-2. 36号線、風を切って。 
花の香りが合図。ここが私たちのHome Town. 
恵庭、Let’s go.

札幌・千歳の間に挟まれたMy City
立地だけじゃねえ 魅力はIt's so shiny
まずはサッポロビール 庭園で乾杯
喉越し最高 他にゃ何もいらんべや?
演習場の音 響く恵庭の朝
自衛隊の街 守る平和の傘
国道走れば 見える黄金色の稲穂
先人が耕した 誇り高きこの地を

なまらあずましい この街の風 
(Garden City, Yeah ここは花の楽園) 
季節を彩る 花の恵み浴びて 
(ルルマップから 恵庭岳を眺め) 
恵み野から島松 繋ぐメロディ 
恵庭 flows 止まらない このStory
女子ならマスト えこりん村でRelax
アルパカの視線 癒やされてMax
「サンガーデン」寄って 苗木を選んだら
お家の庭を 飾り立てて笑うべさ
ラルマナイの滝 三段、白扇
マイナスイオンで 心もアップデート
冬はしばれるけど 心はあったかい
「わや」って言うほど 雪も楽しみたいっしょ?

道産子魂 胸に秘めて 
読書の街で ページをめくって 
漁川(いざりがわ)の流れのように 
絶えず明日へ 夢を繋ごう 
It’s Eniwa pride. どこにいたって 忘れない。

なまらあずましい この街の風 
(Garden City, Yeah ここは花の楽園) 
季節を彩る 花の恵み浴びて 
(ルルマップから 恵庭岳を眺め) 
恵み野から島松 繋ぐメロディ 
恵庭 flows 止まらない このStory
恵庭、いいとこっしょ?
したっけ、またここで会おうね。
Peace out, My Garden City. ENIWA.

都市機能と産業が織りなす「強固な基盤」

恵庭市の最大の特徴は、その圧倒的なアクセスの良さと、戦略的な都市設計にあります。JRで札幌まで約25分、新千歳空港まではわずか13分。この「25分と13分の間」という絶妙な立地が、恵庭を単なるベッドタウンに留めない、力強いポテンシャルを与えています。

市役所の方とお話しして見えてきたのは、住環境としての魅力に加え、産業都市としての極めて堅実な顔です。恵庭は水資源が非常に豊かで、その恩恵を受けてサッポロビールをはじめとする食品・飲料工場や、高度な機械工業が集積しています。

ここで私は、故郷である愛媛県新居浜市の姿を重ねずにはいられませんでした。新居浜もまた、住友グループの「城下町」として発展した工業都市です。私は現在、新居浜市の「にいはま営業本部」のアドバイザーを務めていますが、市長自らが陣頭指揮を執り、外貨を稼ぐ姿勢は、恵庭市の産業活性化への取り組みとも深く共鳴するものを感じます。

恵庭市は人口約7万人を維持しており、多くの自治体が直面する急激な人口減少とは一線を画しています。これは、働く場所があり、暮らしの利便性が高く、かつ自然が身近にあるという、都市としての「総合力」が高いことの証明に他なりません。

サッポロビール北海道工場

花と緑のまち「恵庭」

名前に宿る精神と、たゆまぬブランド形成

恵庭のブランドを語る上で欠かせない「花と緑」のイメージ。その成り立ちには、地名に対する深い愛着が流れています。

「恵庭」という地名は、アイヌ語の「エエンイワ(尖った山)」に由来しますが、漢字では「恵みの庭」と書き表されます。この美しい名にふさわしいまちを創ろうと、約30年ほど前から市民によるガーデニング活動が本格化し、それが現在の観光資源や景観美へと繋がっています。

行政が主導するインフラ整備と、そこに彩りを添える人々の営み。この両輪が回ることで、「恵みの庭」という言葉は単なる地名を超え、まち全体のアイデンティティとなっているのです。冬場には雪と氷を活用した「シーニックナイト」を開催するなど、季節のハンデを逆手に取る知恵も、このまちの強さでしょう。

「ないものを嘆くのではなく、今ある資源をどう編集し、新たな価値を創り出すか」

アメリカ留学時代、自力で生活費を稼ぐために奔走した私の原体験、そしてユーグレナ創業期に「ミドリムシ」という未知の可能性に全てを賭けた日々と、恵庭の歩みが重なって見えました。

夏の「えこりん村」は、「花と緑」そして「羊とアルパカ」を楽しめます。

地方発!日本再生への確信

今回の訪問では、えこりん村の羊たちや、恵庭渓谷の豊かな滝をベストシーズンで見ることは叶いませんでした。しかし、あえて「彩りが少ない時期」に訪れたからこそ、その美しさを支える都市構造や産業の厚み、そして人々の情熱を冷静に見つめることができたと感じています。

恵庭市には、フォレストアドベンチャーのような体験型観光資源もあり、ふるさと納税の返礼品としても高い評価を得ています。「住む」「働く」「遊ぶ」が、「恵みの庭」という一つの世界観の中で見事に調和している姿は、まさに地方創生の理想形の一つです。

「地方の隠れた宝を発掘し、それを現代の形に再編集して世界に解き放つ」

私が株式会社ニホンノチカラで成し遂げようとしているミッションの確かなヒントが、ここ恵庭には溢れていました。次は必ず、色鮮やかな花々がまちを埋め尽くす季節に再訪することを約束し、私は次の探索地へと向かいました。

恵庭市の皆様、素晴らしい写真と貴重なお話を、本当にありがとうございました!

「ラルマナイの滝」は紅葉が有名

恵庭市の情報まとめ

北海道の道央地方に位置する、人口約7万人の都市。札幌市と新千歳空港の中間に位置し、快速エアポートを利用すれば札幌まで約25分、空港まで約13分という抜群の交通利便性を誇る。アイヌ語の「エエンイワ」に由来する地名を「恵みの庭」と冠し、30年以上にわたりガーデニング活動が盛んに行われてきた「花と緑のまち」として全国的に知られる。

産業: 豊かな水資源を活かしたビール・飲料・食品工場や、農機具などの機械工業が盛ん。また、札幌のベッドタウンとしての住宅開発も進んでいる。

文化・観光: 家庭の庭を公開するオープンガーデンや、広大な敷地を持つ「えこりん村」、三つの滝が点在する「恵庭渓谷」が人気。冬は雪と氷のランタンを灯すイベントも行われる。

グルメ: 放牧豚を用いた製品や、水資源の豊かさを象徴する地元産野菜が豊富。かつては羊を見ながらジンギスカンを楽しむなど、北海道らしい食文化も根付いている。

今回お話を伺った方

恵庭市 シティプロモーション課 御担当者様 今回の取材では、あいにくの天候の中、恵庭市の魅力を最大限に伝えるために広報写真のご提供や、市の取り組みについて詳細なレクチャーをいただきました。工業・農業・観光のバランスを戦略的に捉え、まちの価値をどう高めていくかを真摯に追求する、情熱溢れる方でした。

筆者プロフィール

福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。