新幹線の聖地・摂津で見つけた、職人技とものづくりの底力
摂津市(大阪府)ーー1718ニホン探索(45/1,718)
新幹線公園に展示されている「0系新幹線」
「摂津優品(せっつすぐれもん)」「摂津優技(せっつすぐれわざ)」でモノづくりの摂津をPR
全国1,718市町村をすべて巡る「1,718ニホン探索」の旅。45番目の訪問地として私が足を運んだのは、大阪府の北東部に位置する新幹線の聖地「摂津市」です。
新大阪や梅田といった大都市からのアクセスが非常に良く、北部には心地よいベッドタウン、南部には活気ある工業地帯が広がる摂津市。しかし、近隣に京都や大阪市内といった巨大な観光地を抱えるがゆえに、旅人からは一見「通過点」のように見られてしまいがちという課題も抱えています。
ですが、一歩その土地に踏み込めば、そこには「ここにしかない」強烈な個性と、世界に誇るべき日本のものづくりの底力が息づいていました。
訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。
Yeah... どこに行くにもアクセス最高 ここが俺らのホームグラウンド、摂津市 新幹線の街から、世界へ響かすこのビート いこか、準備はええな? 淀川の河川敷、チャリで飛ばす夕暮れ 鳥飼の「平和の鐘」、優しく胸に響いて 新幹線の鳥飼基地、ズラリ並ぶドクターイエロー 見れたらラッキー、明日もええことあるで、そやろ? JR、阪急、モノレール、どこでも行けるフットワーク 新大阪もすぐそこ、これが摂津のポテンシャル ちょっと待ちや、うちのことも喋らせて! 「鳥飼茄子」は絶品、みずみずしくて最高やん? 正雀の商店街、歩けばみんな温かい 「これ食べとき!」って、おばちゃんたちの笑顔が眩しい 都会っぽいけど、ちゃんと緑もある 安威川のほとり、お散歩コースでお気に入り うちの好きなこの街で、ずっと一緒に歩いていこう 摂津の風に吹かれて、明日への夢を語ろう (Yeah, どこにいたって忘れない、この街の温もり) 離れられへん、この場所が私のタカラモノ (Settsu my town, Settsu my soul, ずっと変わらない) 「なぁ、今度の日曜どこ行く?」 「新幹線公園で、あの大きな車両見たい!」 昔走ってた0系、今も輝きは色褪せない 「その後は、ガッツリ美味しいもん食べに行こ!」 せやな、美味い店なら摂津にぎょうさんあるしな 「うち、摂津に生まれてほんまに良かったわ」 時代の流れの中で、進化を続けるマイシティ でも変わらへんのは、人の温かさとこの景色 いつでもここに帰ってきたら、ホッとできるんやから 淀川の風が、今日も俺たちの背中を押す 「明日も頑張ろな!」って、街の声が聞こえる 摂津市から未来へ、この歌を繋ぐ ずっと、ずーっと、大好きやで 摂津、My Hometown. (Yeah, peace...)
新幹線の聖地が抱える、地域資源活用のリアル
まず私が向かったのは、日本有数の新幹線車両基地である「鳥飼車両基地」のすぐ近くにある「新幹線公園」です。
実は、事前にオンラインでおすすめされているのを見て訪れようとしたのですが、案内されたルートが車では到底たどり着けないような場所で、最初は迷ってしまいました。市役所の「水みどり課」のご担当者様にお話を伺うと、やはりアクセス面には構造的な課題があるとのこと。周辺道路が非常に狭く、JRの用地という制約もあるため、展望デッキの設置や車両の移設には高いハードルが立ち塞がっているのが現状でした。
しかし、4月になれば線路沿いに見事な桜並木が広がり、新幹線の青と桜のピンクが織りなす景色は息をのむ美しさだといいます。「通過点」とされがちな街だからこそ、こうした尖った地域資源をどう活かしていくか。単なる観光投資ではなく、地域住民の憩いの場である「明和池公園」や「三号街区公園」といった成功事例と組み合わせながら、都市の魅力を再編集していく重要性を強く感じました。
新幹線の「鳥飼車両基地」
新幹線公園に展示されている「EF15形電気機関車」
三号街区公園
街のプライドを形にする「摂津優品」と「摂津優技」
続いて訪問した「産業振興課」で、私は摂津市の本当の強みに出会うことになります。
摂津市は、明治期の産業発展や水運の歴史(「川の町」)を背景に、昔から中小の製造業が集積してきた、まさに「ものづくりの街」です。「ネジから複雑な曲面加工まで、摂津に来れば作れないものはない」と言われるほど、高い職人技を持つ企業がひしめき合っています。日本唯一のミラーボールメーカーがあるのも、実はこの摂津市です。
市では、これら至高の技術や製品をブランディングするため、商工会議所と連携して独自の認証制度を立ち上げていました。それが、
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「摂津優品(せっつすぐれもん)」(優れた商品)
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「摂津優技(せっつすぐれわざ)」(優れた技術)
です。 毎年厳しい審査を経て数社が認定され、地元大学生とコラボしたYouTube動画でその魅力を発信するなど、シティプロモーションに官民一体で取り組んでいます。地方には、まだ世に知られていない宝が本当にたくさん眠っている。この制度のロゴマークを見つめながら、私は地方の可能性を改めて確信しました。
あらゆるカテゴリーのものづくりが集積している摂津
AIには絶対に真似できない、10年の仕込みと職人の指先
その認定企業の中でも、特に私の心を捉えた伝統的工芸品・大阪欄間の「木下らんま店」さんへ、今回は文字通り「飛び込み」で訪問させていただきました。
工房で迎えてくださったのは、伝統工芸士の木下文男さんと、そのDNAを受け継ぐ娘さんの木下朋美さんです。
お二人のお話を聞き、私は経営者として、そして一人の人間として深い感銘を受けました。 欄間の製作に使用する「柿の木」は、なんと木を伐採してから10年ほど寝かせて水分調整を行うのだそうです。変形しづらい状態にするための「仕込み」だけに10年。気の遠くなるような時間をかけ、そこからさらに、寸分の狂いもない細密な彫刻を施していきます。いちばん多く使われるという杉の木を使った建築インテリアも見せていただきましたが、それはもはや単なる工芸品ではなく、魂が宿った「芸術品」そのものでした。
現代はAIやデジタルテクノロジーが急速に進化し、多くの仕事が代替されると言われています。しかし、木下さん親子が魅せてくれた「10年先を見据える目」と「指先の感覚だけで木に命を吹き込む技」は、AIには絶対に真似できません。
木下らんま店さんでは、伝統を守るだけでなく、その最高峰の技術を応用して「木の名刺入れ(これも10年仕込みの柿の木が使われています)」など、現代のライフスタイルに合わせた新しい挑戦を続けておられます。だからこそ、「摂津優品」「摂津優技」の双方に認定されているのでしょう。
後継者不足という課題はあれど、こうした技術を持つ職人こそが、これからの時代、もっとも高い価値を認められ、リスペクトされるべき存在です。私がアメリカ留学時代に強く感じた「日本の価値」、精度高く誇れる「地場産品の底力」。それらが完全に融合した素晴らしい職人技を世界に解き放つことこそが、私たちが掲げる「地方発!日本再生」への確かな一歩になると、強く胸に刻んだ出会いとなりました。
「摂津優品」「摂津優技」両方に認定されている「木下らんま店」
摂津市の情報まとめ
大阪府の北摂地域に位置する、人口約8.7万人の都市。淀川をはじめとする豊かな水系に恵まれ、古くから水運の要衝として栄えました。新大阪駅や大阪梅田へのアクセスが抜群で、北部には閑静な住宅街が広がる一方、南部は東海道新幹線鳥飼車両基地を擁し、産業都市としての顔も持ちます。
産業:伝統工芸品である「大阪欄間」の産地であり、木材加工の歴史を伝える「銘木」という地名も残ります。高い技術力を誇る中小の製造業・金属加工業が集積しており、近年は市独自のブランド「摂津優品」「摂津優技」の認証制度で地場産業のPRに注力しています。
文化・観光:新幹線車両や電気機関車が現物展示されている「新幹線公園」は鉄道ファンに有名で、春には線路沿いに美しい桜並木が広がります。また、地域住民に親しまれる「明和池公園」や、初夏にあじさいが咲き誇る「藤森神社」などのスポットがあります。
グルメ:伝統的な「淀川の川魚料理」の歴史を背景に、独自の食文化が育まれてきました。近年では、地域の特産品や職人技を活かしたこだわりの食品・加工品が「摂津優品」として多数認定されています。
今回お話を伺った方
水みどり課(摂津市役所) 新幹線公園をはじめとする市内の公園や緑地、水辺環境の維持管理および整備を管轄する部署。新幹線公園が抱える立地やアクセス面の実務的制約に向き合いながらも、地域の憩いの場である明和池公園や三号街区公園の整備を進めるなど、市民の生活環境向上と地域資源の適切な保全・活用に尽力している。
産業振興課(摂津市役所) 摂津市内の商工業の振興や地場産業の育成、プロモーションを担う部署。市内の中小企業が持つ高度な技術力や職人技に着目し、商工会議所と連携して独自の認証制度「摂津優品(せっつすぐれもん)」「摂津優技(せっつすぐれわざ)」を立ち上げる。地元大学生を巻き込んだ動画発信など、官民一体となった革新的なシティブランディングを展開している。
木下文男 氏 / 木下朋美 氏(木下らんま店) 大阪府摂津市にて、江戸時代から続く伝統技法を継承する「大阪欄間」の伝統工芸士親子。父・文男氏の熟練の技と、娘・朋美氏の現代的な感性を融合させ、伝統的な建築用欄間のみならず、現代のライフスタイルに合わせた「木の名刺入れ」やインテリア造形物などを制作。摂津市の優れた技術・製品に贈られる「摂津優品」「摂津優技」の双方に認定され、日本の伝統美を次世代へと繋ぐ活動を続けている。
筆者プロフィール
福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。













