都会のすぐ隣に広がる、奇跡の「癒しの聖地」へ
篠栗町(福岡県)ーー1718ニホン探索(67/1,718)
山王寺の風鈴
樹芸の森展望台から見た篠栗の街。
アメリカへの留学時代、私は「日本の美しさや価値」を客観的に見つめ直す機会を得ました。そして帰国後、全国の地方を車で回りながら、過疎化や後継者不足といった厳しい現実と同時に、各地に眠る計り知れない可能性(宝)を肌で感じてきました。50歳を迎えた今、私が「株式会社ニホンノチカラ」を立ち上げ、全国1,718すべての市町村を自ら歩く「1718ニホン探索」の旅を続けているのは、まさにその「地方の隠れた宝」を発掘し、日本再生の原動力にしたいという強い一念からです。
今回、私が足を踏み入れたのは、福岡県糟屋郡に位置する篠栗町(ささぐりまち)。博多駅から公共交通機関や車でわずか30〜40分という、圧倒的な都市近郊でありながら、ここには日常の喧騒を一切忘れさせてしまうほどの深い緑と、何百年もの時を紡いできた祈りの文化が息づいていました。
役場の産業観光課を訪ねると、2名の熱心なご担当者様が温かく迎え入れてくださいました。見せていただいたお遍路マップや資料を前に、篠栗町が持つ2つの大きな魅力についてお話を伺うことができました。
訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。
Ah, Yeah... 都会のノイズをフェードアウト 深呼吸ひとつで、世界が変わる街 Welcome to my playground, Sasaguri town... Listen... 1, 2, 3, Go 街の喧騒、抜け出すウィークエンド 緑が手招く、ウチらのホームランド お遍路の鈴の音(ね)が ココロにリフレイン 弘法大師が見守る、このエリアのメイン 南蔵院、仰ぎ見るブッダのスタチュー 祈りを捧げて、また明日へダッシュ 「きんしゃったね」って、すれ違う笑顔のループ この温かさが、ウチらの最強のグループ ちょっと歩けば、木漏れ日のランウェイ 悩みなんて、いつの間にかフェードアウェイ 森林セラピー、五感でフルにビルド ここは傷ついた翼を癒やすシールド キラキラ 揺れる 杉の木立(こだち)を抜けて ウチらの誇り、森林セラピー、ココがパワースポット! 「おいでよ、篠栗へ!」 涙も 迷いも、全部流してしまいんしゃい! ディープな緑に 抱(いだ)かれながら ステップ 踏めば、明日もバリがんばれるっちゃん! お腹が鳴ったら、迷わずエスコート 「やまや」のファクトリー、ウチらのフードコート 明太子のピリ辛、バリうまかけん! ひと口で、誰もが笑顔になるっちゃけん 九大の森、水面に映るラクウショウ 言葉はいらない、静寂のワンショウ(ワンショー) 幻想的なブルー、SNSじゃ足りん魅力 五感のすべてをロックする重力 そのまま登ろう、米ノ山のテラス 博多の夜景が、ウチらを照らす 「ねぇ、バリ綺麗じゃない?」って、こぼしたワンシーン この街が好きって、胸が高鳴るエンジン 若杉山の風が、頬を撫でてゆく ただいま、おかえり、交わす言葉のぬくもり 都会じゃ見つけられない、本当のラグジュアリー この場所で、ウチらは生きていく キラキラ 揺れる 杉の木立(こだち)を抜けて ウチらの誇り、森林セラピー、ココがパワースポット! 「おいでよ、篠栗へ!」 涙も 迷いも、全部流してしまいんしゃい! ディープな緑に 抱(いだ)かれながら ステップ 踏めば、明日もバリがんばれるっちゃん! 多々良川の流れのように、穏やかに いつでも ここで 待っとるけんね ウチらの大好きな、篠栗町 Yeah, Peace out... Sasaguri green.
科学が証明した「森の力」:森林セラピー基地
篠栗町の最大の強みの一つが、全国に約60箇所しか存在しない「森林セラピー基地」に認定されている点です。
ご担当者様のお話の中で特に印象的だったのは、これが単なる「自然豊かな場所」というイメージ戦略ではなく、「科学的なデータに基づいた認定である」という点でした。都市部と篠栗町の森に入った際の人体のストレス値を比較実験し、実際にストレスが減少することが科学的に証明されているのです。
「森林セラピーの狙いは、心も体も癒されることにあります。精神的な癒しや、病後の回復を求めて来られる方もいらっしゃいます」
そう語るご担当者様の言葉通り、この深い緑の空間は、現代社会を生きる人々にとっての「命の洗濯場」として機能しています。しかも、それが九州の心臓部である博多から30分強でアクセスできるという事実。これこそが、篠栗町が持つ唯一無二のロケーションの価値だと強く確信しました。
四国の祈りを凝縮した「篠栗四国八十八ヶ所霊場」
そして、篠栗町を語る上で決して欠かすことができないのが、歴史ある「篠栗四国八十八ヶ所霊場」の存在です。
驚くべきことに、このコンパクトな町のエリアの中に、88もの札所(お寺や堂宇)が凝縮されています。その歴史を紐解くと、数百年前の先人たちが本家・四国の砂をこの地に持ち帰り、四国の霊場と同じ形を篠栗の地に再現したのが始まりなのだそうです。
本家・四国のお遍路をすべて歩くには膨大な日数と体力を要しますが、篠栗のお遍路は比較的巡りやすい規模の中に凝縮されています。とはいえ、ご担当者様曰く「一日で全てを回ることは到底不可能」とのこと。地元の旅館に数日間滞在し、宿を拠点にしながら何日もかけてゆっくりと歩いて巡拝する参拝客が多いそうです。
歴史が育んだ「歩いて祈るお遍路の文化」と、現代の「森林セラピーによる癒しの要素」が、篠栗町という一つの空間で見事に共存し、相乗効果を生み出している――。これぞまさに、日本が世界に誇るべき、心と体を再生する「ウェルネス観光」の原形がここにあると感じました。
篠栗四国八十八ヶ所霊場の札所を7か所巡ってみました。
緑と祈りに包まれる、現地散策のひととき
インタビューを終えた私は、さっそく町が誇る癒しのスポットへと車を走らせました。
まずは森林セラピーのオススメコースの一つである「樹芸の森」へ。一歩森に足を踏み入れると、ひんやりとした清浄な空気が全身を包み込みます。山道を登り、展望台へたどり着いた時の爽快感は格別でした。眼下に広がる緑の優しさに、日頃の疲れが文字通り溶け出していくような感覚を覚えました。
その後、役場に隣接するカフェ&観光案内所に立ち寄り、八十八ヶ所霊場のオススメのお寺を教えていただきました。今回は時間の限られた中で、南蔵院、山王寺、明石寺、大宝寺、弘照院、遍照院、延命寺の7つの札所を訪問しました。
世界最大級のブロンズ製釈迦涅槃像で知られる南蔵院の圧倒的な存在感はもちろん、それぞれのお寺が持つ静謐な空気、手入れの行き届いた境内に、先人たちから受け継がれてきた信仰の深さを強く感じました。ご担当者様のおっしゃる通り、本来であれば2泊ほどして、じっくりと時間をかけて心静かに回るべき素晴らしい霊場です。
大都市のすぐ隣に、これほど豊かな自然と、深い精神文化が調和した町がある。インバウンドの波が地方へ波及する今、この篠栗町の「癒しの力」は、日本国内のみならず、世界中のストレスを抱える人々の心を救う大きなコンテンツになるに違いありません。
森林セラピー散策コース「樹芸の森」からの景色
鳴淵ダム
めんたいこの「やまやファクトリー」
篠栗町の情報まとめ
福岡県の筑豊地方との境界に近い糟屋郡に位置する、人口約3万1,000人の町。博多駅から快速列車で約15分という至便な位置にありながら、多々良川の上流に広がる豊かな自然に恵まれ、都市近郊のオアシスとして機能している。
産業: 都市近郊という立地を活かした農業が盛んで、米や野菜の栽培が行われている。また、博多へのアクセスの良さからベッドタウンとしての側面も持ち、近年では豊かな自然環境と歴史文化を活かした「観光・ウェルネス産業」への取り組みに力を入れている。
文化・観光: 日本三大新四国霊場の一つに数えられる「篠栗四国八十八ヶ所霊場」があり、年間を通じて多くの遍路客が訪れる。また、科学的に高いリラックス効果が証明された「森林セラピー基地」に認定されており、見事な落羽松(ラクウショウ)が水面に浮かぶ景観で有名な「九大の森」など、多彩な散策コースが整備されている。
グルメ: お遍路文化に伴い、町内には古くから参拝客を癒してきた伝統的な割烹旅館や食事処が点在し、滋味溢れる山菜料理や川魚料理が楽しめる。また、近年は豊かな緑に囲まれたおしゃれな古民家カフェや、地元の新鮮な食材を活かしたモダンな飲食店も増え、若者や観光客に人気を博している。
今回お話を伺った方
福岡県糟屋郡篠栗町 産業観光課 ご担当者様 篠栗町の豊かな自然資源と、歴史あるお遍路文化を融合させた地域活性化およびシティプロモーションを牽引。全国に先駆けて認定を受けた「森林セラピー基地」の運営・管理や、都市部からの圧倒的なアクセスの良さを活かした観光コースの提案、さらには「篠栗四国八十八ヶ所霊場」のマップ整備などを通じ、現代人の心身を癒すウェルネス観光の推進に尽力されている。
筆者プロフィール
福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。











