人口3万人達成の地!大都市の隣で輝く、自然と子育てが調和する「理想のベッドタウン」のリアル
須恵町(福岡県)ーー1718ニホン探索(66/1,718)
福岡市のすぐ近くにある緑豊かなベッドタウン「須恵町」
日本全国1,718市町村を巡る「1718ニホン探索」プロジェクト。今回、私が足を運んだのは、福岡市に隣接する粕屋郡の「須恵町(すえまち)」です。
これまで65の市町村を回り、多くの地域で少子高齢化や過疎化の深刻な現実に直面してきました。しかし、ここ須恵町に降り立った瞬間、どこか他とは違う、若々しく活気のある空気を感じました。それもそのはず、役場のふるさと応援課を訪ねると、なんと「人口3万人を達成しました!」という、地方創生を目指す私にとってこれ以上ない素晴らしいニュースで迎えられたのです。
訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。
Yeah... 092、糟屋のディーププレイス。 岳城(たけじょう)の麓、緑が息吹くマイホームタウン。 須恵町(すえまち)の風に吹かれて、ペンを走らせるばい。 Listen to my town's heartbeat... Let's go. ボタ山が物語る 炭鉱の歴史 先人が繋いだ 誇り高き遺伝子 国鉄勝田線 走ったあのレール 今は「旅石」から未来へ繋ぐエール 黒ダイヤの記憶胸に 掘り起こす言葉(ワード) ちかっぱアツい魂(ソウル)ば見せちゃるけん、ほら 皿山(さらやま)の登り窯、炎が揺れる 須恵焼の美しさに 誰もが目を奪われる 古きを知り新しきを知る、この街のストーリー 一歩ずつ踏みしめる、これが俺らのグローリー 若杉(わかすぎ)の空に 響けこの声 どこにいたっちゃ 須恵を忘れんけんね きらめく夜景が 僕らを照らす 皿山公園、ツツジが彩るこのプレイス 「すいとうよ」って言わせて(言うてみいや) ずっと変わらん、この街が1番ばい! 新原(しんぱる)の駅を降りて 歩くいつもの道 コミュニティバス「すえっこ」 走る街の意志 おにぎり山(新原八幡宮)見上げて深呼吸 須恵健康広場じゃ 子どもたちのハイタッチ 都会(天神)も近いばってん、ここが最高 自然と人の温もり、それがアンサー(解答) 「そげんこつなかよ」って笑い合う日々 おすそ分けの精神、消えんこの火 未来へ羽ばたく 須恵の若人(わこうど) 変わらない優しさが、ここにあると。 若杉の空に 響けこの声 どこにいたっちゃ 須恵を忘れんけんね きらめく夜景が僕らを照らす 皿山公園、ツツジが彩るこのプレイス 「すいとうよ」って言わせて(男: 言うてみいや) ずっと変わらん、この街が1番ばい! 若杉山、カブトの森、空気が美味いっちゃ 疲れた時は 帰っておいで、ここで待っとるけん 須恵中央から世界へ、ビートをデリバリー 離れても心は ひとつ、確かなシンパシー 誇り胸に、声を上げろ(S.U.E. TOWN!) ラララ… 皿山の風が通り抜ける Yeah、これが俺たちの須恵町。 愛しとるよ。 ずっと、この街と生きていくばい。 SUE-CITY... Out.
大都市への抜群のアクセスと「手頃な戸建て」という魅力
お話を伺う中で、須恵町の最大の強みは、大都市・福岡市を支える「ベッドタウン」としての圧倒的な利便性と、豊かな自然のバランスにあることが分かりました。
福岡空港までは車や電車で約30分、博多駅や天神へも40分圏内。町内にはJR香椎線の駅が「新原(しんばる)駅」「須恵駅」「須恵中央駅」と3つも存在します。大都市への通勤・通学インフラがこれほどコンパクトに整っているのは、それだけで大きな価値です。さらに九州自動車道のスマートインターチェンジもあるため、県外へのアクセスも良好です。
現在、福岡市内は開発ラッシュに伴い、マンション価格が高騰しています。一般の若いファミリー層が手を出せる価格ではなくなっている中、須恵町はかつての農地(田んぼ)を計画的に宅地開発しており、手頃な価格でゆったりとした憧れの「戸建て」を購入できるとあって、子育て世代が続々と移住しています。駅前の駐輪場が自転車で溢れ、整備が追いつかないほど需要が高まっているというエピソードからも、現役世代の多さがリアルに伝わってきました。
須恵町運動公園・若杉の森
地域で育む教育と、世代を超えた「おやじの会」の温もり
須恵町の魅力は、単なる「寝に帰るだけの街」ではない、地域コミュニティの温かさにあります。
町内には小学校が3校、中学校が2校、そして福岡県立須恵高校があり、子どもたちが小・中・高と多感な時期を地元で一貫して過ごせる環境が整っています。高校通学のために遠方へ電車で通う必要がないのは、親御さんにとっても非常に安心でしょう。
さらに胸が熱くなったのは、冬に行われるという「竹灯籠によるイルミネーション事業」のお話でした。これは、地域の小学校の「おやじの会(父親の会)」と校区のコミュニティ事務局がタッグを組んで、手作りで竹灯籠を制作し、冬の駅前などを彩るイベントです。JR新原駅前にも美しいイルミネーションが施されるそうで、博多や天神での仕事を終えて帰ってきた父親や母親たちを、地域の手作りの光が優しく出迎えるのです。単なる核家族の集まりではなく、世代を超えた交流と「自分たちの街を誇ろう」という温かいエネルギーがここに息づいています。
豊かな自然とスポーツ、そして生活のリアル
独自の巨大な観光地や突出した産業をアピールするのではなく、住民の「暮らしの質」に徹底して投資しているのも須恵町の特徴です。
ツツジやアジサイの名所として知られる「皿山(さらやま)公園」や、スポーツを満粋できる「運動公園 若杉の森」など、緑豊かな環境と体を動かせる場所が日常のすぐそばにあります。また、文化的な発信拠点として「久我記念館」や「歴史民俗資料館」があり、市民の展示会や文化活動の場として活発に利用されています。
日常の買い物事情についても、非常に現実的で無駄がありません。町内に巨大なショッピングモールはありませんが、「トライアル」や「コメリ」といったスーパーやホームセンターがあり、日用品はすべて町内で完結します。そして、服の購入など少し特別な買い物をしたいときは、車で10〜15分ほど走れば、九州屈指の規模を誇る「イオンモール福岡」へすぐに行ける。正にベッドタウンとしての利便性がここにはあります。
仲島水辺公園
皿山公園
成長する街だからこその「次なる課題」
もちろん、すべてが順風満帆というわけではありません。人口が増加しているからこその「成長痛」とも言える課題も伺いました。
現在、須恵町内の道路は1車線が多く、人口増に伴って朝夕を中心に渋滞が発生しやすくなっているため、拡幅工事を進めている最中だそうです。また、かつて運行していた空港行きのバスが廃線となり、主な交通手段が車と電車に限られている点も、今後のインフラ再整備のポイントになるでしょう。
そして、日本全国の自治体が直面している公共施設の老朽化問題は、ここ須恵町も例外ではありません。築40〜50年を迎える体育施設などの修繕・維持管理費用をどのように確保していくかは、これからの大きな課題です。 しかし、全国の9割以上の自治体が人口減少で「施設の維持すらできずに閉鎖せざるを得ない」という極限の選択を迫られている中で、人口が微増している須恵町には、未来への投資を検討できるだけの「底力」と選択肢が残されています。
久我記念館、歴史民俗資料館では、須恵町の歴史に触れる事が出来ます。
須恵町の情報まとめ
福岡県の筑前地方(粕屋郡)に位置する、人口約3万人の町。福岡市の東側に隣接し、抜群の交通アクセスを誇ることから、近年は快適なベッドタウンとして人口が微増傾向にある稀有な自治体である。岳城山や若杉山などの豊かな山々に囲まれ、自然と都市生活が美しく調和している。
産業:かつては石炭産業(志免炭鉱関連など)で栄えた歴史を持つが、現在は福岡市のベッドタウンとしての機能を重視。町内には工業団地も立地する。農業は米や野菜の栽培が行われているが、宅地開発の進展に伴い兼業農家中心の小規模な展開へと移行している。
文化・観光:ツツジやアジサイの名所として知られ、町を一望できる展望台や歴史民俗資料館を擁する「皿山公園」が有名。また、市民の芸術文化の発表の場である「久我記念館」や、冬に地域の「おやじの会」が中心となって行う竹灯籠イルミネーションなど、独自の地域コミュニティ活動が盛ん。
グルメ:地域の豊かな水と緑が育んだ地元産のお米や、アットホームな個人飲食店が点在。日常の食卓を支える大型スーパーなどの利便性と相まって、安心安全な食環境が整っている。
今回お話を伺った方
須恵町役場 ふるさと応援課 ご担当者様 須恵町の「住民の暮らしの質」向上と、移住・定住促進を最前線で支えるメンバー。単なる人口増に満足せず、公共施設の老朽化や道路渋滞といった「成長に伴う課題」にもリアルに向き合い、官民が連携した「おやじの会」などの地域コミュニティ活動を裏から支える熱意ある行政マン。
筆者プロフィール
福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。











