瀬戸の海と山が織りなす「ウオーキングのまち」で出会った、都市近郊の豊かなライフスタイル

坂町(広島県)ーー1718ニホン探索(95/1,718)

坂町(広島県)の現地取材写真
坂町(広島県)の現地取材写真(2)

西日本最大級の人工海浜「ベイサイドビーチ坂」

今回は95番目の訪問地として広島県安芸郡にある坂町(さかちょう)の役場を訪れた。対応してくださったのは、企画財政課の二人のご担当者様。少人数でありながら、商工観光、農林水産、広報、空き家活用、移住定住、そして有害鳥獣対策に至るまで、幅広い業務を一手に担いながら地域を支えている熱意ある職員の皆さんだ。

坂町は、広島市と呉市という大きな都市の間に位置しながら、豊かな自然環境を残す人口約1万2,000人のコンパクトなまちである。今回の取材と、その後に実際に町内を巡る中で見えてきたのは、瀬戸内海の穏やかな海とすぐ背後に迫る山々が一体となった、非常に贅沢なロケーションの数々だった。

訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。

Yeah... 瀬戸の風を感じてみなよ
広島の隣、光る海と坂のTown
Ah-yeah, Let's go!

朝の目覚まし代わり ベッドタウン坂町 飛び出す げな? 
広島のすぐそば、アクセス良好 
だけど空気はどこかスロー&ピースフル 
いけん、寝坊した! でも大丈夫
町中に広がる ウォーキングコース
「悠々」と歩けば 景色がリフレイン
山から見下ろす 瀬戸内のBlue, yeah

歩き出そうよ この町で (Walk, walk!)
山も海も私のステージ (Step, step!)
でーれ気持ちいい風が吹く
坂町プライド 胸に抱いて
ベイサイドから響く Beat
君と私を繋ぐ Street
いつでもマイペースで Go! Go!
いっときも目が離せない Town!

海沿いに向かえば 映えるロケーション
西日本最大級 ベイサイドビーチ坂
夏だけじゃない、一年中賑わう
もんくなしのスポット、カップルも集う
モンベルでギア揃え、アロハカフェで一息
潮風に揺れる パームツリーとミュージック
ペットとお散歩、愛しい時間
こんな贅沢、ほかにある? No, no!

歩き出そうよ この町で (Walk, walk!)
山も海も私のステージ (Step, step!)
でーれ気持ちいい風が吹く
坂町プライド 胸に抱いて
ベイサイドから響く Beat
君と私を繋ぐ Street
いつでもマイペースで Go! Go!
いっときも目が離せない Town!

お腹が空いたら モチモチの特産
「芸州坂うどん」で 心までとろける
あ、そうそう! 忘れちゃいけないこのキャラ
きれい好きで掃除熱心、メジロの
「坂 うめじろう」も応援中!
ぶちかわいい相棒と歩くこの場所で 
今日も笑顔が咲き誇る

歩き出そうよ この町で (Walk, walk!)
山も海も私のステージ (Step, step!)
でーれ気持ちいい風が吹く
坂町プライド 胸に抱いて
ベイサイドから響く Beat
君と私を繋ぐ Street
いつでもマイペースで Go! Go!
いっときも目が離せない Town!

悠々ウォーキング、君と二人で
一歩ずつ踏み出す 明日のストーリー
広島のベッドタウン、だけど主役は私たち
坂町、最高じゃろ?
Yeah, Peace out...

海と山が融合する西日本最大級のロケーション

坂町の最大の顔となっているのが、県が整備した全長1.2キロメートルを誇る人工海浜「ベイサイドビーチ坂」だ。福岡のシーサイドももち海浜公園に匹敵する西日本最大級の規模を誇るビーチで、JR呉線の水尻駅の目の前という抜群のアクセスの良さです。広島市内から電車や車で20分〜30分ほどで到着できるため、都市近郊のリゾートとして多くの人々で賑わう。

このビーチの陸地部分には、アウトドアブランドの「モンベル」がテナントとして入居している。建設は町が設計・建設を発注し、設計はモンベルの関連会社が担当したという気合の入りようだ。この店舗はモンベル店舗の中でもペット用品の売り上げが好調な店舗の一つとの事で、夏場の海水浴シーズン以外は、愛犬家たちが絶好の散歩コースとして利用しており、今や「愛犬家の聖地」のような場所になっている。隣接する「アロハカフェパイナップル」のテラス席もペット同伴が可能で、週末ともなれば多くの家族連れや愛犬家で賑わう活気あるスポットとなっている。

さらに坂町の大きな魅力は、海のすぐ背後に低山が迫っている独特の地形にある。町内には標高300メートル前後の山々が連なっており、初心者でも30分から1時間程度で気軽に登れるトレッキングコースが整備されている。山頂や遊歩道からは瀬戸内海の島々を一望でき、冬場には島と島の間へ夕日が沈む絶好のフォトスポットへと姿を変える。

特筆すべきは、人口1万数千人の小規模な自治体でありながら、町内にJRの駅が3つ(坂駅、水尻駅、小屋浦駅)あり、それぞれの駅から山への遊歩道が繋がっている点だ。「ある駅から登って別の駅へ降りる」というウォーキングが楽しめるまちとして、「ウオーキングのまち」を掲げているのも大いに納得がいく。東京からの出張者が地図アプリで海を見つけてふと立ち寄り、水尻駅からの絶景をSNSにアップしたところ、宮島や原爆ドームを凌ぐ反響があったというエピソードもうなずける。海と山、そして鉄道がこれほどコンパクトに結びついた地域はそうそうない。

坂町(広島県)の現地取材写真:海と山が融合する西日本最大級のロケーション

ALOHA CAFE Pineapple

坂町(広島県)の現地取材写真:海と山が融合する西日本最大級のロケーション(2)

ビーチの目の前にある「モンベル」のショップ

坂町(広島県)の現地取材写真:海と山が融合する西日本最大級のロケーション(3)

 この日もSUPを楽しんでいる方々が。

小さなまちが抱える課題と、これからの可能性

一方で、これだけの豊かな地域資源を持ちながらも、担当者様が口を揃えて語られていたのは「PRの難しさ」という課題だった。コロナ禍の折には、飲食店の2階に無料Wi-Fiや電源を備えたテレワークスペースを整備するなど、時代に合わせた新しい試みも行われてきた。しかし、観光から一次産業、移住定住までを少人数の企画財政課で回している現状では、その魅力を外へ向けて十分に発信しきれずにもどかしさを感じているという。

町内で生産されたむらさき麦を主な原料とした「芸州坂うどん」や町の木である梅にちなんだ梅ワイン「梅の薫」も和歌山の業者と協力してPR品として展開するなど、工夫を凝らしながら地域を盛り上げている。町の木「梅」と町の鳥「メジロ」を掛け合わせた愛らしいキャラクター「坂うめじろう」も、町内のあちこちに登場して訪れる人々を和ませてくれる。

今回の訪問を通じて感じたのは、坂町には私たちがまだ見落としている「すぐ近くにある極上の日常と非日常」が詰まっているということだ。広島・呉という大都市のすぐ隣にありながら、電車を降りてすぐに美しいビーチが広がり、ちょっと足を延ばせば瀬戸内海の多島美を見下ろす山歩きができる。このライフスタイルそのものが、現代の忙しい都市住民にとって最高の価値になり得るはずだ。

ベイサイドビーチ坂の整備を第一弾と位置づけ、今後さらに地域全体の魅力をどう束ねて発信していくか。コンパクトなまちだからこそ描ける、機動的で温かみのある地方創生の形がここにはある。瀬戸の潮風と温かい人々に触れ、私自身もたくさんのエネルギーをもらった一日となった。

坂町(広島県)の現地取材写真:小さなまちが抱える課題と、これからの可能性

町の至る所に「坂うめじろう」が。

坂町(広島県)の現地取材写真:小さなまちが抱える課題と、これからの可能性(2)

坂駅近くのホームセンターの壁面に描かれる「坂町秋まつり」のアート

坂町(広島県)の現地取材写真:小さなまちが抱える課題と、これからの可能性(3)

坂町災害伝承ホールのある公園に立つ「坂町水害碑」

坂町の情報まとめ

広島県の南西部、広島市と呉市の間に位置する、人口約1万2,000人の町。瀬戸内海の穏やかな海と山が接近するコンパクトな地形を活かし、「ウオーキングのまち」を掲げている。西日本最大級の人工海浜「ベイサイドビーチ坂」をはじめ、海と山の両方のレジャーを一日で楽しめるのが大きな特徴。

産業:海に面していることから牡蠣の養殖が盛んで、漁協による新鮮朝市などが開かれる。また、近年はアウトドアブランドの誘致や観光資源を活かした地域活性化に注力している。

文化・観光:JRの駅から直接アクセスできる低山ハイキングコースが複数整備されており、瀬戸内海の島々を一望できる。町の木である「梅」と鳥の「メジロ」をモチーフにしたキャラクター「坂うめじろう」が親しまれている。

グルメ:坂町産のむらさき麦を主な原材料とした「芸州坂うどん」や、海沿いのカフェでは瀬戸内海のロケーションを眺めながら食事を楽しむことができる。

今回お話を伺った方

坂町 企画財政課 ご担当者様 人口約1万2,000人の坂町において、企画財政課の少人数体制の中枢を担う。観光振興、農林水産業の振興、移住定住の促進、さらには有害鳥獣対策まで多岐にわたる業務を横断的に担当。豊かな自然環境とアクセスの良さを活かしたまちづくりの舵取りを行い、地域住民の暮らしを守りながら、町の新たな魅力を発信するために日々奔走している。

筆者プロフィール

福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。

福本拓元(株式会社ニホンノチカラ代表)