夢の国のすぐ隣にある、かつての漁師町。コンパクトシティ・浦安が描く「観光と日常の共生」の未来

浦安市(千葉県)ーー1718ニホン探索(58/1,718)

浦安の湾岸エリアにある「東京ディズニーランド」

全国1,718市町村を巡る「1718ニホン探索」プロジェクト。58番目の訪問地として私が足を運んだのは、千葉県浦安市です。

浦安といえば、誰もが真っ先に思い浮かべるのが年間3,000万人から4,000万人もの人々が訪れる日本最大級のテーマパーク「東京ディズニーリゾート」でしょう。宿泊客だけでも年間約800万人にのぼるという、まさに日本を代表する一大観光エリアです。

しかし、今回私が商工観光課の担当者の方々とお話しする中で見えてきたのは、その強大な知名度の影で、街が持つ「もう一つの素晴らしい素顔」をいかにして発信し、地域経済へと循環させていくかという、非常に前向きで奥深い挑戦の姿でした。

訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。

(Yeah, Check it! 1, 2, Welcome to U-Ray-Yeah!)
夢の国だけじゃ終わらせない
東西線から湾岸線、ぶち抜くライン
うちらのホームタウン、最高のステージ
浦安Girls, Let's turn the page!
(Ah, Yeah! 行くよ!)

シンデレラ城が見える日常 
他県(よそ)の人からすりゃ、それって異常? 
でもうちらにすりゃこれがDefault 
舞浜駅から始まるReport

「ねえ、今日アフ5(アフターシックス)で行っちゃう?」とか
贅沢なローカル、マジでヤバいっしょ?
イクスピアリで放課後トーク
タピオカ片手に歩くプロムナード

でもね、これだけじゃ終わんない 
境川沿い、風が心地良い 
元町エリアのレトロな風情 
あさり・ハマグリ、漁師のDNA!

ウェルカム! ここが夢の街・浦安!
毎日がFestival、ココロ躍らす
パレードの音が聴こえる距離で
うちらは生きてる、輝く瞳で
(Hey! Welcome to Urayasu!)
海風浴びて、明日へJump Up!
(Yeah, 誰も止めらんないじゃん!)

新町エリアはヤシの木ロード 
シンボルロードをドライブモード 
だけど忘れちゃいけない伝統 
三社祭の熱気は本物!

「まえだー! まえだー!」の掛け声で
お神輿担げば、みんなマブダチだべ?
「ほら、モタモタしてっと置いてっちゃうじゃん!」

お隣の江戸川、越えれば東京
だけどここが一番、落ち着く場所
災害も乗り越えた絆
うちらの街は、何があっても負けねえんだわ!

ウェルカム! ここが夢の街・浦安!
毎日がFestival、ココロ躍らす
パレードの音が聴こえる距離で
うちらは生きてる、輝く瞳で
(Hey! Welcome to Urayasu!)
海風浴びて、明日へJump Up!
(Yeah, 誰も止めらんないじゃん!)

夢の国がある街、だけどそれ以上に
うちらのリアルが、ここに咲くStory
新浦安、舞浜、浦安駅
どこを切り取っても、マジで最高。

(Yeah… U-Ray-Yeah…)
(いつでもおいでよ、うちらの街へ)
(PEACE!)

「世界観」と「生活」を明確に分けた美しいまちづくり

浦安市を車で走ってみて深く感銘を受けたのは、その景観の美しさと計画的な街の構造です。市のまちづくりは、東京ディズニーリゾートのある「観光ゾーン」と、市民が心地よく暮らす「居住ゾーン」が非常に明確に線引きされています。

浦安市総合公園の周辺など、海辺の景観は実に見事で、まるで海外のリゾート地を思わせるような洗練された統一感があります。これは、テーマパークの非日常的な世界観を守ると同時に、ベッドタウンとしての静かな住環境を最優先に守ってきたという、歴代の丁寧な都市計画の賜物です。

この線引きがあるからこそ、市外からの膨大な観光流入があっても市民の生活が脅かされず、コンパクトで利便性の高い暮らしが維持されているのです。一方で、その美しい住環境を守りつつ、今後はどのように観光客に市内の他のエリアへも足を運んでもらうかという「回遊性」の向上が、次のステップとしてのチャレンジとなっています。

新浦安の住宅エリアは、南国の雰囲気漂うお洒落な街並みで、公園も多く生活環境が整っています。

インスタ映えの聖地になりえるポテンシャル!「浦安市郷土博物館」

私が実際に訪問して最も印象を受けたのが「浦安市郷土博物館」です。

ここは、かつて海と共に生きた「漁師町・浦安」の昭和20年代後半の町並みを、実物大の建造物や川(スカリ川)を用いて見事に再現している、素晴らしい体験型博物館です。一歩足を踏み入れると、近代的な浦安のイメージから一転して古き良き日本の情緒に包まれ、どこを切り取っても「SNS映え」する圧巻のクオリティに感動しました。

現在は入館料が無料という大変贅沢な運営をされていますが、地元の小学生たちの社会科見学の場として愛されているだけでなく、若者やインバウンド(訪日外国人)の観光客にとっても、日本独自の歴史体験スポットとして計り知れないポテンシャルを秘めています。こうした、まだ広く知られていない「隠れた宝」が、すぐ近くに存在していること自体が浦安の大きな強みです。

浦安の昭和の街並みを体験できる「浦安市郷土博物館」

東京湾の夜景を独り占めする、伝統の「屋形船」と「釣り船」

もう一つ、浦安が誇る地場産業として素晴らしい輝きを放っているのが、伝統的な「屋形船」と「釣り船」の文化です。浦安駅からほど近い川沿いには複数の歴史ある船宿が並んでおり、そこから東京湾、お台場、葛西沖へと船を出すことができます。

通常は団体利用が中心の屋形船ですが、浦安では2名から気軽に申し込める「乗り合い屋形船」を定期的に運行しています。食事付きで2時間半から3時間、極上の夜景と美味しいお料理を堪能できて約12,000円というパッケージは、体験価値として非常に高水準です。特にお花見シーズンに運行される「海から桜を楽しむ特別ルート」は、告知後すぐに満席になってしまうほどの人気を博しているそうです。

また、家族がテーマパークで楽しんでいる間に、お父さんは船宿から釣り船に乗って東京湾でのフィッシングを満喫する、といったユニークな「家族それぞれの楽しみ方」も実際に生まれています。まさに、最先端のエンターテインメントと、日本の粋な川文化・海文化が同じ街の中で見事に共存しているのです。

浦安駅近くの川沿いには伝統的な船宿が多数あり、釣り船だけでなく、屋形船も楽しむことが出来ます。

「関係人口」を育み、外貨を街の力へ

取材の中で、京都市の事例を交えながら「市民の生活を守りつつ、外貨を稼ぎ、街を維持していく仕組み」について意見交換を行いました。浦安市は千葉県内で最も面積が狭いコンパクトな都市だからこそ、これ以上の急激な人口増加を追うのではなく、訪れる人々に浦安のファン=「関係人口」になってもらう質の高い観光流入が求められています。

幸いにも、テーマパーク周辺のホテル稼働率は年間を通じて90%以上という驚異的な数値を維持しています。これは世界中のディズニーランドの中でも、日本のホテルのホスピタリティやクオリティが頭一つ抜けて素晴らしいことの証でもあります。

現在、市の観光コンベンション協会のウェブサイトがリニューアルを控えており、今後はこうした膨大な宿泊客に向けて、テーマパークの興奮の後に「もう1日浦安に滞在して、屋形船や郷土博物館、美しい海辺の公園を楽しむ」という、新しい旅のストーリーがどんどん提案されていく過渡期にあります。

強大なIPの力をしっかりと街の基盤として活かしつつ、元々この地が持っていた漁師町の歴史や、新しく作られた美しい海辺の景観をリ・ブランディングしていく。浦安市が持つ無限のポテンシャルを肌で感じ、日本の地方創生の新しいヒントをたくさんいただいた素晴らしい訪問となりました。

舞浜駅、商業施設「イクスピアリ」、ホテル等、ディズニーの世界観を活かした街並み。

浦安市の情報まとめ

千葉県の西北部に位置する、人口約17万人の都市。1980年代以降の東京ディズニーリゾートの開園や、大規模な埋め立て事業によって計画的な都市開発が進み、日本有数の近代的なリゾート・ベッドタウンへと驚異的な発展を遂げました。その一方で、元町エリアにはかつて海と共に生きた漁師町の歴史的風情が色濃く残っており、新旧の魅力がコンパクトに融合した街です。

産業:商業・サービス業が中心。東京ディズニーリゾート関連の観光・宿泊業が基盤であり、市内には外資系や国内大手ホテルが多数集積しています。また、伝統的な船宿による屋形船や釣り船などの海洋レジャー産業も、特色ある地場産業として息づいています。

文化・観光:世界的なテーマパークはもちろんのこと、昭和の漁師町の町並みを移築・再現した体験型施設「浦安市郷土博物館」や、旧大塚家・旧宇田川家などの歴史的建造物があります。また、ヤシの木が並び開放的な海景が広がる「浦安市総合公園」など、美しい景観スポットも豊富です。

グルメ:かつて伝統的な貝類の漁獲で栄えた名残から、「あさりの佃煮」や、串に刺してタレで焼き上げた「蛤(はまぐり)・あさりの串焼き」が名物です。屋形船で提供される新鮮な江戸前の魚介類や天ぷら、そして地元で長く愛される老舗専門店の「高級うなぎ」なども人気の食文化です。

今回お話を伺った方

浦安市 商工観光課 担当者の皆様 浦安市の地域経済の発展と観光振興を担う。年間数千万人が訪れる東京ディズニーリゾートという世界的な観光資源を擁する街において、テーマパークと浦安市内の地域コミュニティ、そして地場産業である船宿や飲食業とを繋ぐ新しい観光回遊ルートの策定に尽力。住環境を守る美しい都市計画を維持しつつ、国内外からの宿泊客に「もう一つの浦安の魅力」を伝えるため、観光コンベンション協会サイトのリニューアルなど、時代に合わせた積極的な情報発信の舵取りを行っています。

筆者プロフィール

福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。