官民連携と「現場主義」で育む、山口県長門市の移住・定住と地域再生の挑戦
長門市(山口県)ーー1718ニホン探索(79/1,718)
海と赤い鳥居が見事な「元乃隅神社」
仙崎港横にある「道の駅センザキッチン」にあるNAGATOのモニュメント
「地方発!日本再生」を目指し、全国1,718の市町村を自ら訪ね歩くプロジェクト「1718ニホン探索」。79番目の訪問地として足を運んだのは、山口県北西部に位置し、雄大な日本海と豊かな自然、そして名湯に恵まれた山口県長門市です。
かつて私がハイクロレラの営業で車を走らせ全国を巡っていた頃から、日本の地方には常に地域を支える温かい人々と、磨けば光る宝が眠っていると感じていました。今回ご対応いただいたのは、空き家バンクや移住相談の最前線に立つ市民活動推進課 移住定住推進班の皆様。さらにそのご推薦をいただき、歴史ある温泉街の再生を担う地域未来創造課、そして福祉専門学校の跡地を活用したIT拠点施設「閃HIRAMEKI Nagato」を運営する産業立地・戦略推進課のご担当者様にもお話を伺うことができました。
訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。
Yo, Welcome to NAGATO 青い海と緑のパノラマ どこ行ってもぶちええ街やけぇ 耳を澄ましんさい、この風の声 風光明媚、歴史と未来が交差しとる場所 長門から全国へ Check it out! まずは腹ごしらえ 向かうセンザキッチン 新鮮な海の幸 笑顔が溢れるキッチン 仙崎のイカに蒲鉾(かまぼこ) ぶちうまいっちゃ! お腹を満たしたら海へダイブ(Go!) 青海島(おおみじま)の絶景 まさに海上アルプス ダイナミックな岩肌 波が洗うルーツ 自然が造り出したアートのパラダイス ここに来れば誰もが声をあげる「Nice!」 ぶち愛しとるよ長門(NAGATO) 風が吹き抜けるこの街の波音 昔ながらの温もりと新しい希望 みんなでおいでませ 繋ぐ未来へのバトン ずっと誇りやけぇ 長門 CITY! 赤い鳥居が連なる元乃隅神社 海に向かって伸びる景色はまさに宝 高い賽銭箱めがけて Throwing ball 願いを込めて投げろ 夢を掴み取れ そこから一気に駆け上がる千畳敷 風車が回る高台 広がる大きな景色 空と海が溶け合う青のグラデーション テンションは最高潮 言葉はいらん絶景のロケーション ぶち愛しとるよ長門(NAGATO) 風が吹き抜けるこの街の波音 昔ながらの温もりと新しい希望 みんなでおいでませ 繋ぐ未来へのバトン ずっと誇りやけぇ 長門 CITY! 旅の疲れ癒すなら 長門湯本温泉 音信川(おとずれがわ)のせせらぎ 幻想的な灯り 足湯に浸かり歩く川端のレトロ&モダン さらに湯治の街 俵山温泉の湯に浸かろう 温かい人情と効能豊かな名湯 そして未来を創る場所 閃 HIRAMEKI Nagato アイデアが交差し新しい風が吹く 伝統を守りつつ次の時代へと突き進む 焼き鳥の香ばしい煙が漂う夜 誰もが笑顔で「また来んさい」と言う 山もあり海もあり湯もあり未来がある 長門の街が俺たちの誇りやけぇ N-A-G-A-T-O... Forever...
「住まい」を軸に寄り添う、長門市流の移住定住支援
長門市市民活動推進課 移住定住推進班が担う大きな役割の一つが、空き家バンクの運営と個人向けの定住支援です。企業誘致や事業承継支援は別部署が担当していますが、起業や就農を希望する移住検討者に対しては、農林課や創業支援部署と密に連携を取り、ワンストップでサポートする体制が整えられています。
特に感銘を受けたのは、物件所有者に対する細やかなアプローチです。所有者の多くが高齢者であることを考慮し、アクセスしやすい公民館の1階へと部署を移転。さらに、所有者が安心して物件を手放せるよう、成約時に10万円を支給する市独自の「成約報奨金」制度や、職員自らが演者となって出演するケーブルテレビのCM・Instagramでの情報発信など、親しみやすさを追求した取り組みを展開されています。私自身、実家の空き家維持に直面している当事者として、こうした所有者の心理的ハードルを下げる工夫の重要性を痛感しました。
また、移住者向けには最大200万〜300万円規模のリフォーム補助金を整備し、中国地方や山口県内でも先駆けて「360度VR内見システム」を導入。遠方にいながらWeb上でリアルな生活空間を把握できる仕組みは、美祢市など近隣自治体からも相談が寄せられるほどの先行事例となっています。
さらに、旅行会社を挟まずに職員の方々が手弁当で運営する「オーダーメイド移住体験ツアー」では、先輩移住者や地域住民との交流を重視。病院や学校の案内だけでなく、時には地元の祭りや盆踊りに一緒に参加するなど、顔の見える関係性を築く姿勢には、かつてベンチャーで手探りの中で泥臭く営業に奔走した私自身の原点と重なる熱意を感じました。
青海島の展望台から眺める「圧巻の景観」
長門湯本温泉郷
道の駅センザキッチン
龍宮の潮吹が見えるスポット
俵山温泉の再生と「町ごと旅館」プロジェクト
続いて伺った地域未来創造課では、開湯から1100年もの長い歴史を持ち、高い効能で知られる俵山温泉の再生に向けた熱いビジョンをお聞きしました。かつて大正時代の全盛期には40軒以上あった旅館も、現在は10軒強まで減少。この危機を乗り越えるため、官民連携による「グランドデザイン」が策定され、本格的な実行フェーズへと移っています。
注目の取り組みが、トライアル始動した「町ごと旅館」プロジェクトです。街全体を一つの大きな旅館に見立て、昔の銭湯を改装したフロント施設でチェックインを行い、提携する各旅館の客室へ案内する仕組みを構築。「泊食分離」を基本とし、夕食は街の居酒屋や飲食店へ足を運んでもらい、朝食は地元のパン屋が作るサンドボックスを提供・連携するなど、地域全体へ経済効果を巡らせる持続可能な仕組みづくりが進められています。
一般社団法人俵山未来デザインや事業会社である俵山クリエイト、そして市役所を早期退職してゲストハウスを営む地元リーダーなど、多様なプレーヤーが一体となって地域を動かしている姿に、地方再生の大きなヒントを見出しました。
官民連携で進められる「俵山温泉」再生プロジェクト
廃校をイノベーションの拠点へ「閃HIRAMEKI Nagato」見学
取材の最後には、産業立地・戦略推進課のご担当者様のご案内で、福祉の専門学校跡地をリノベーションして開設されたIT拠点施設「閃HIRAMEKI Nagato」を視察させていただきました。
国の交付金を活用して洗練された空間へと生まれ変わったこの施設は、都市部のIT企業やサテライトオフィス、新規創業者の誘致を目的としたチャレンジの場です。歴史ある地域資源を守る一方で、未来に向けた新しい産業や人の流れを生み出そうとする長門市のスピード感と本気度を肌で感じることができました。
少子高齢化による自然減は避けられない側面があるものの、転入促進によって「社会減を最小化する」という明確な目標を掲げ、近隣市との広域連携も含めて行動する長門市。現場に立つ職員の方々が誇りを持って汗を流すその熱気に触れ、私自身も「地方発!日本再生」への決意を新しくする素晴らしい訪問となりました。
福祉の専門学校跡地をリノベーションして開設されたIT拠点施設「閃HIRAMEKI Nagato」
長門市の情報まとめ
山口県の北西部に位置する、人口約3万人の都市。北側は日本海に面し、国指定名勝の青海島や元乃隅神社といった雄大な自然景観が広がる美しいまちです。
産業:沿岸漁業や農業が盛んで、ケンサキイカや長州黒どりなどの特産品があります。近年はIT企業の誘致や起業家支援など、新規産業の育成にも注力しています。
文化・観光:湯本温泉や俵山温泉をはじめとする名湯を有し、湯治文化が根付いています。また、金子みすゞの生誕地としても知られ、詩情豊かな文化が息づいています。
グルメ:新鮮な海の幸を使ったウニやイカ料理、名物の焼き鳥、地元産の食材を生かしたパンやスイーツなど、豊かな食文化が楽しめます。
今回お話を伺った方
長門市 市民活動推進課 移住定住推進班 ご担当者様 長門市における空き家バンクの運営や移住相談窓口を担当。高齢の物件所有者が相談しやすいよう部署を公民館1階へ移転させたほか、市独自の「成約報奨金」や「オーダーメイド移住体験ツアー」、360度VR内見の導入など、親しみやすくきめ細やかな移住・定住支援を現場主義で推進している。
長門市 地域未来創造課 ご担当者様 長門市内の地域活性化や観光まちづくりを推進する部署。衰退傾向にあった俵山温泉街の「再生のラストチャンス」としてグランドデザインを策定し、官民連携プラットフォームや「町ごと旅館」プロジェクトの立ち上げ・運営支援を通じて、歴史的資源を生かした持続可能な街の再構成に挑んでいる。
長門市 産業立地・戦略推進課 ご担当者様 長門市の産業振興、企業誘致、新事業創出を担う部署。廃校となった福祉専門学校の施設を国の交付金を活用してリノベーションし、IT企業やベンチャー企業の誘致拠点「閃HIRAMEKI Nagato」を開設・運営するなど、都市部からの企業呼び込みと地域雇用の創出に取り組んでいる。
筆者プロフィール
福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。












