苦難を逆手に取る突破力。「伊達」のルーツと誇りを未来へ繋ぐ挑戦

伊達市(福島県)ーー1718ニホン探索(86/1,718)

伊達市(福島県)の現地取材写真

「政宗ダテニクル」のキャラクターが待つ「梁川八幡神社」

伊達市(福島県)の現地取材写真(2)

「高子二十境 丹露盤」から眺める伊達市内

「地方発!日本再生」を目指し、全国1,718の市町村を巡る「1718ニホン探索」。86番目に訪れたのは、あの独眼竜・伊達政宗で名高い伊達家発祥の地、福島県伊達市です。

伊達市役所でお話を伺ったのは、商工観光課の熱意あふれる2人のご担当者様。震災の苦難を乗り越えてきた軌跡から、アニメを活用した先進的なシティプロモーション、そして東北最大級の商業施設開業を見据えた未来戦略まで、濃密な対話を重ねることができました。

訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。

Yo、ここが始まりの場所
阿武隈の風が抜ける街
伊達の誇り、胸に刻み込み
立ち上がるぜ、ここ福島・伊達市!
んだべ!行くぞ伊達City!

歴史のルーツ ここに降臨
伊達家発祥の地 揺るがぬ本陣
高子沼から梁川城跡
歩けば蘇る 武将の足音
あの日の傷跡 越えて立ち上がる
風評も苦難も 全部跳ね返す
蘇る息吹 「政宗ダテニクル」
アニメの光が 未来をクリエイトする
パネルが迎える 聖地の巡礼
温かい笑顔で 「おいでよ」と歓待
挫けねえ心 繋ぐ絆
伊達のプライドは 消せやしねえな!

伊達じゃないぜ! 俺らの魂
伊達鶏喰らって みなぎる力に
甘く実った あんぽ柿
オレンジ色に染まる この大地
んだがら言ったべ 負けねえって
何度でも前へ 這い上がって
伊達の未来を 照らし出せ
ずっとこの街を 愛してっぺ!

桃の香りが 運ぶ初夏
実りの秋には 実る果実が
あんぽ柿のカーテン 光る軒先
職人の技が 紡ぐ物語
伊達鶏ジューシー 旨味の極致
食えばわかるさ この街の価値
「うまいがら食ってみ?」「んだ、うめぇな!」
交わす言葉に 愛が溢れんだ
霊山(りょうぜん)の峰 見上げる空
晴れ渡る明日へ 踏み出す今
過去と現代(いま)が クロスロード
歴史とアニメで 拓く新章(ニューロード)!

伊達じゃないぜ! 俺らの魂
伊達鶏喰らって みなぎる力に
甘く実った あんぽ柿
オレンジ色に染まる この大地
んだがら言ったべ 負けねえって
何度でも前へ 這い上がって
伊達の未来を 照らし出せ
ずっとこの街を 愛してっぺ!

伊達家発祥 始まりの地
ダテニクルと共に 紡ぐストーリー
まだまだこっから 止まりはしねえ
伊達の魂、響かせろ永遠(とわ)へ
んだ、愛してっぺ伊達市!
One Love, DATE CITY!





逆境から生まれた「アニメ×歴史」のプロモーション

伊達市を語る上で避けて通れないのが、2011年の東日本大震災と原発事故の影響です。当時、風向きの影響で霊山(りょうぜん)エリアなどを中心に高い放射線量が観測され、避難区域の指定や徹底した除染作業を余儀なくされました。特産品のあんぽ柿をはじめとする農産物も大きな打撃を受け、今なお徹底したモニタリング検査が続けられています。

「ネガティブなイメージがついてしまったからこそ、他がやっていない面白い取り組みで目立とうと考えました」

ご担当者がそう語るように、逆境の中で打ち出したのがアニメを活用した地域振興でした。あのアニメ制作会社「ガイナックス」(現在は版権管理を他社へ引き継いでいる)とタッグを組み、伊達氏のルーツを題材にしたオリジナルアニメーションをYouTubeで展開。伊達政宗公と初代・伊達朝宗(ともむね)が協力して敵に立ち向かうストーリーで、若い世代やアニメファンに伊達市の存在を強く印象付けました。

自治体単独で新作アニメを作り続ける財政的ハードルはあるものの、現在もキャラクターを活用したノベルティ配布や道の駅のラッピング自動販売機など、息の長いブランディングが続いています。

伊達市(福島県)の現地取材写真:逆境から生まれた「アニメ×歴史」のプロモーション
伊達市(福島県)の現地取材写真:逆境から生まれた「アニメ×歴史」のプロモーション(2)
伊達市(福島県)の現地取材写真:逆境から生まれた「アニメ×歴史」のプロモーション(3)

伊達氏に所縁のある場所や道の駅等、町の至る所に「政宗ダテニクル」のキャラクター達が。

伊達家だけではない、重層的な3つの歴史軸

対話の中で改めて実感したのは、伊達市が持つ圧倒的な歴史の深みです。ご担当者によると、伊達市の歴史には3本の太い柱があります。

伊達家発祥の歴史:平安末期から鎌倉時代、伊達朝宗が高岡の地で「伊達」を名乗ったことがすべての始まり。国の史跡である梁川城跡など、武将の息吹が今も色濃く残ります。

南北朝の動乱と霊山:南朝側の名将・北畠顕家(きたばたけあきいえ)が拠点を置いた霊山。切り立った岩峰が連なる山容は、歴史ファンのみならずハイカーをも魅了します。

近代日本を支えた養蚕文化:明治期、日本が世界に輸出した生糸の多くを支えた蚕種・養蚕の歴史。

私自身、幕末の志士・坂本龍馬の「柔軟に時代を切り拓く生き方」に深く惹かれ、起業家としての指針にしてきました。伊達政宗公もまた、戦国末期に遅れて生まれながらも独自の才覚で道を切り拓いた稀代のアントレプレナーです。そして現在、かつて仙台藩を開いた仙台市や、戦国時代に対立していた相馬市とも手を取り合い、広域で歴史文化を発信する連携が進んでいることにも深い感銘を受けました。歴史の遺恨を超え、互いの甲冑を着てイベントを盛り上げる姿勢こそ、これからの地方に必要な柔軟さだと感じます。

伊達市(福島県)の現地取材写真:伊達家だけではない、重層的な3つの歴史軸

梁川八幡神社

伊達市(福島県)の現地取材写真:伊達家だけではない、重層的な3つの歴史軸(2)

梁川城跡

伊達市(福島県)の現地取材写真:伊達家だけではない、重層的な3つの歴史軸(3)

東光寺

絶品の「伊達鶏」とファミリーを惹きつける体験価値

伊達市の魅力は歴史だけではありません。取材前に立ち寄った「道の駅 伊達の郷 りょうぜん」でいただいた「伊達鶏」の味は鮮烈でした。

旨味が非常に濃いにもかかわらず、驚くほど肉質が柔らかい。一般的な地鶏のような硬さがなく、上質な脂の甘みが口いっぱいに広がります。人気の鉄板焼きは惜しくも売り切れでしたが、いただいた釜飯の深い味わいには唸らされました。

さらに、霊山エリアには広大な「りょうぜん こどもの村」や、名物アイスクリーム「まきばのジャージー」、日帰り入浴もできる「紅彩館」が揃っており、家族連れが1日中自然と触れ合える環境が整っています。学校の先生方の口コミから遠足の定番スポットとして定着したというエピソードも、本物の体験価値があるからこそだと納得しました。

「イオンモール伊達」開業を大きな契機に

現在、伊達市では東北最大級の規模を誇る「イオンモール伊達」の建設が進んでいます。相馬福島道路(東北中央自動車道)の開通により、福島市や相馬市はもちろん、宮城県南部からもダイレクトに人が集まる巨大なハブが誕生します。

モール内に案内拠点を設け、そこから市内の史跡巡りや道の駅、霊山の自然へと誘う周遊動線をいかに描くか。ここからが伊達市の本当の勝負どころです。

「たとえ子どもたちが将来、東京や仙台へ出て行ったとしても、『伊達には誇るべき歴史がある』と胸を張って好きでいてほしい」

ご担当者が語ったその願いに、地方創生の原点を見ました。埋もれた宝を磨き直し、物語を紡ぎ、次世代へと繋ぐ。伊達市の力強い歩みは、日本の地方が持つ底力を力強く示しています。

伊達市(福島県)の現地取材写真:「イオンモール伊達」開業を大きな契機に

道の駅 伊達の郷 りょうぜん

伊達市(福島県)の現地取材写真:「イオンモール伊達」開業を大きな契機に(2)

伊達鶏の釜飯

伊達市(福島県)の現地取材写真:「イオンモール伊達」開業を大きな契機に(3)

阿武隈川

伊達市の情報まとめ

福島県中通り北部に位置する、人口約5.5万人の都市。2006年に伊達町、梁川町、保原町、霊山町、月舘町の5町が合併して誕生しました。奥州藤原氏討伐の功により源頼朝から伊達郡を賜った伊達朝宗が「伊達」を名乗った伊達家発祥の地として知られ、国の史跡・梁川城跡をはじめとする数多くの史跡が残ります。阿武隈川沿いの肥沃な盆地気候を活かした果樹栽培や、明治期に日本経済を支えた養蚕の歴史など、豊かな自然と産業が息づく街です。

産業:果樹・農業(桃、あんぽ柿、りんご等)、ブランド鶏肉「伊達鶏」の生産・加工、製造業、ニット・繊維産業

文化・観光:梁川城跡(国史跡)、名勝・霊山(奇岩とハイキングコース)、りょうぜん こどもの村、長岡天王祭(7月下旬)、歴史資料館

グルメ:伊達鶏(ジューシーで旨味の強い銘柄鶏)、あんぽ柿(伊達発祥の伝統干し柿)、まきばのジャージーのアイスクリーム、桃

今回お話を伺った方

伊達市役所 商工観光課 ご担当者様(2名) 伊達市の歴史文化資源の活用、アニメプロモーションの展開、および広域観光連携や商業振興施策を推進。

筆者プロフィール

福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。

福本拓元(株式会社ニホンノチカラ代表)