あえて「何もない」強み。人口増を支えるコンパクトシティの合理的生存戦略

岐南町(岐阜県)ーー1718ニホン探索(75/1,718)

徳田ねぎがモチーフの岐南町のゆるキャラ「ねぎっちょ」

岐南町役場

全国47都道府県、1,718の市町村を自らの足で巡る「1718ニホン探索」プロジェクト。75番目の訪問地として足を運んだのは、岐阜県の南部に位置する「岐南町(ぎなんちょう)」です。

役場の企画広報課をお尋ねし、ご担当者様と対談させていただきました。取材の冒頭、担当者の方が少し恐縮された様子で発せられた言葉が非常に印象的でした。

「具体的にこれを強烈に推しているというか、何か際立った観光地や施設があるわけではないんです」

地方創生や地域振興の文脈では、よく「その町ならではの目玉(観光資源や巨大な特産品)」を探しがちです。しかし、岐南町のお話を伺う中で、私は起業家としての自分の感覚とはまったく別の、非常に合理的な「まちづくりのリアル」を見出すことになりました。

訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。

岐阜の南、交差するIntersection
どこへ行くにも最高のAction
岐南の風を感じてRide on
ここが俺たちの愛するTown
チェックしときな!
岐南町(ぎなんちょう)やに!

岐南、岐南、交差点の街
どこから来ても warmly 迎える場所やち!
徳田ねぎみたいに甘くて太い
絆を結んで 未来へつなぐ(Let's go!)
岐南、岐南、住みやすさナンバーワン
おいでよ、一緒に笑おうよみんな
昨日も今日も明日もずっと
この町が好きやて!岐南Town!

国道21に22がクロス
岐南インターチェンジ、迷わずPass
交通の要所、どこへ進むも自在
だけどやっぱりこの場所に帰りたい
八剣(やつつぎ)に伏屋(ふせや)、歴史刻む街並み
昔ながらの温かさ、変わらん営み
シャキシャキの徳田ねぎ、鍋に入れてみ?
一口食べたら広がる旨味、マジでYummy!

岐南、岐南、交差点の街
どこから来ても warmly 迎える場所やち!
徳田ねぎみたいに甘くて太い
絆を結んで 未来へつなぐ(Let's go!)
岐南、岐南、住みやすさナンバーワン
おいでよ、一緒に笑おうよみんな
昨日も今日も明日もずっと
この町が好きやて!岐南Town!

「今日なにしてるの?」って「なにしとるん?」
買い物なら近所でなんでも揃う(Fun!)
ファミリーもキッズもみんな笑顔で
すくすく育つよ、この温かい手で
公園で遊んで、夕焼けに染まる
「はよ帰りなよ」って声が聞こえる
「だで言ったやん」「ほうか〜」って笑い合って
温もりあふれる、あたたかい街やて!

岐阜の玄関口、走るバイパス!
人の優しさはいつでも最高クラス!
小さい街だけど、でっかいドリーム!
みんなで作る最強のチーム!
岐南の魅力を叫ぶぜ、せーの!
「やっぱり岐南がいちばんやに!」

岐南、岐南、交差点の街
どこから来ても warmly 迎える場所やち!
徳田ねぎみたいに甘くて太い
絆を結んで 未来へつなぐ(Let's go!)
岐南、岐南、住みやすさナンバーワン
おいでよ、一緒に笑おうよみんな
昨日も今日も明日もずっと
この町が好きやて!岐南Town!

岐南町…
ほんとええとこやで…
どこへ行っても、またここに戻ってくる
みんな待っとるでね!
岐南Town Forever, Peace!

「何もない」のではなく「生活に特化している」という価値

岐南町は、町全体の半径がわずか2km程度という非常にコンパクトなまちです。山や川といった目立った自然環境や観光スポットは多くありません。しかし、その背後にある利便性は圧倒的です。

名古屋駅まで名鉄で最短23分(笠松駅から)

岐阜駅へも車や電車で約10分

主要国道(国道21号等)や高速ICがすぐ近くにあり、中部国際空港(セントレア)や大型レジャー施設へも1時間〜1時間半圏内

つまり、岐阜市のみならず「名古屋都市圏」のベッドタウンとして抜群の立地を誇っているのです。大都市へのアクセスが極めて良好でありながら、都市部に比べて家賃や地価が安く抑えられる。若い世代や新婚夫婦が「合理的な生活の拠点」としてこの町を選ぶ理由は、数字と地理的条件が雄弁に物語っていました。

さらに特筆すべきは、生活インフラの密度の高さです。半径2㎞のコンパクトな町の中に、 中学校1校、小学校3校、コンビニが14件、スーパーが7件、ドラッグストアが7件、医療機関に至っては30以上もぎゅっと凝縮されています。車はもちろん、徒歩や自転車だけでも日々の暮らしが完結する。この「生活ストレスのなさ」こそが、岐南町の隠れた最大の強みでした。

コンパクトな街の中に商業施設が数多くある生活利便性の高い町。

「子育て支援」と「災害リスクの低さ」が引き寄せる若い力

岐南町の魅力は立地だけではありません。行政の手厚い子育て施策が、若い世代の流入を力強く後押ししています。

町では平成25年頃から10年以上にわたり、小中学校の給食費無償化を継続。高校生までの医療費無償化など、子育て世帯の負担を直接的に軽減する取り組みを愚直に続けてきました。

その結果として表れているのが、明確な実績です。

合計特殊出生率:岐阜県内No.1
令和7年国勢調査(見込み):人口約2万6,000人を維持・微増傾向

日本全国の多くの自治体が深刻な人口減少に頭を悩ませる中、岐南町は人口を横ばいから微増で維持しています。山や川が少ないという点は、見方を変えれば「土砂災害や洪水、津波などの自然災害リスクが極めて低い」という大きなメリットにもつながっています。

「観光地として人を呼び込むまち」ではなく、「住む人が一番快適に暮らせるまち」。観光という華やかさに頼らず、住民の生活利便性と子育て支援にリソースを集中させる戦略は、地方自治のひとつの完成形と言えるかもしれません。

名鉄「岐南駅」からは名古屋へ約30分

100円で乗れる岐南町コミュニティバス

町内に2つある温浴施設

「町の在り方」へのヒント

私自身、10代でのアメリカ留学や、その後の全国での営業活動、ユーグレナでの事業立ち上げを通じて、常に「日本の地方が持つ潜在力」を見てきました。

岐南町のように「尖った観光資源」を持たない地域であっても、徹底的なコンパクト化と生活利便性の追求、そして明確なターゲット(子育て世代)への投資によって、人口を維持し活気を生み出すことができる。この再現性の高い「住環境特化型モデル」は、全国の多くのコンパクトな自治体にとって大きなヒントになるはずです。

取材の後、住民の憩いの場である温浴施設「湯処 みのり」、地元の農産物が集まる「JA岐阜 おんさい広場 はぐり」など、暮らしに密着したスポットにも行ってきました。華やかな観光名所はなくとも、そこには確実に豊かな「人々の営み」と「活力」が存在しています。

JAぎふ おんさい広場 はぐり

徳田ねぎの旬は11月頃~

伏屋城跡

岐南町の情報まとめ

岐阜県の南部(濃尾平野の北西)に位置する、人口約2万6,000人の町。町全体が半径約2km以内に収まる非常にコンパクトな街並みで、岐阜市や名古屋市のベッドタウンとして発展。主要幹線道路や名鉄線が通り、交通利便性が抜群です。手厚い子育て支援により若いファミリー層が多く、人口減少下においても人口を維持・微増させています。

産業:交通の要所であることを生かした物流・商業施設が集積。郊外型店舗や医療機関が充実し、住環境を支えています。農地では特産の「徳田ねぎ」などが栽培されています。

文化・観光:町公認キャラクター「ねぎっちょ」が親しまれています。歴史スポットとして伏屋城跡などが存在します。

グルメ:柔らかく甘みがある伝統野菜「徳田ねぎ」や、地元の新鮮な野菜が集まる「JA岐阜 おんさい広場 はぐり」の直売品が名物です。

今回お話を伺った方

岐南町役場 企画広報課 ご担当者様 岐南町のまちづくり、広報・政策推進を担う。町の強みである高い交通利便性や手厚い子育て施策を活かし、住民が暮らしやすい持続可能なコンパクトシティづくりを推進されている。

筆者プロフィール

福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。