富士山の恵みを次世代へつなぐ、伊豆の玄関口・三島市の「総合力」

三島市(静岡県)ーー1718ニホン探索(12/1,718)

伊豆の玄関口「三島市」へ。

「1718ニホン探索」の旅、12番目の訪問地として降り立ったのは、静岡県東部に位置する三島市です。

新幹線のホームに降り立つと、そこにはどこか凛とした空気が流れていました。古くは東海道の宿場町、そして伊豆への入り口として栄えたこの街は、現代においても新幹線や高速道路が交差する「交通のハブ」としての役割を色濃く残しています。

今回、三島市役所にて商工観光まちづくり課、および政策企画課の計3名の方々にお話を伺いました。そこで見えてきたのは、単なるベッドタウンでも観光地でもない、多層的な魅力を持つ三島の「底力」でした。

訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。

「水の都」が支える豊かな暮らしと食

三島を語る上で欠かせないのが、富士山の雪解け水がもたらす豊かな湧水です。 市街地のいたるところにせせらぎがあり、街全体が潤いに満ちています。この水は生活の質を高めるだけでなく、地元の食文化にも深く根ざしています。

三島グルメの代名詞といえば「うなぎ」ですが、これも富士山の伏流水に数日間さらすことで、臭みが抜け、身が締まるのだといいます。また、農業においてもこの水の恩恵は絶大です。箱根西麓の傾斜地で、水はけの良い火山灰土壌と太陽の光をたっぷり浴びて育つ「箱根西麓三島野菜」は、その質の高さで知られています。

中でも、G1認証を取得した「三島馬鈴薯(メークイン)」を100%使用した「みしまコロッケ」は、市内80店舗以上で提供されるまさに市民のソウルフルフード。私も取材の合間に頂きましたが、ジャガイモ本来の甘みが際立ち、この土地の豊かさを一口で実感させてくれました。

三島の代表的なグルメ「鰻」

水資源に恵まれた三島の農作物は「みしまるかん」で。

ベッドタウンと観光、そして「ロケ」が創る一体感

三島の大きな特徴は、その「総合力」にあると感じました。 朝の新幹線は10分に1本。東京まで約45分という利便性から、東京・横浜方面へ通勤する子育て世代が多く暮らしています。

「人口減少は課題ですが、他地域に比べれば緩やかです」と語る担当者の方々の言葉からは、選ばれる街としての自信が伺えました。日本大学や順天堂大学のキャンパスもあり、若い世代の活気も混ざり合っています。

さらに興味深かったのは、最近力を入れているという「ロケ誘致」のお話です。 「オール三島でロケを受ける」という体制を整え、商店街を通行止めにして撮影を行うこともあるのだとか。市民や商店街の方々が非常に協力的で、街全体で「何か面白いことをやろう」という一体感がある。この空気感こそが、地方創生における最も重要な「資源」ではないでしょうか。

三島駅から東京駅は、新幹線で1時間以内

1300年以上の歴史がある「三嶋大社」

課題と未来:土地の制約を越える知恵

もちろん、課題がないわけではありません。 中心市街地がコンパクトにまとまっている一方で、新たな産業用地(土地)が不足しているという現実があります。工業団地を作ればすぐに埋まってしまうほど需要があるものの、急峻な山間部を開発するには莫大なコストがかかります。

しかし、三島には民間主導のエネルギーがあります。日本一の吊り橋「三島スカイウォーク」のような新しい観光スポットが、企業努力によってバギーやジップラインなどのアクティビティを次々と投入し、リピーターを獲得している姿は、まさに私が理想とする「地方の宝を世に解き放つ」実践そのものです。

三島スカイウォークは新たな観光資源

訪問を終えて

三島を歩いて感じたのは、歴史という縦糸と、現代の利便性という横糸が、富士山の清流によって美しく織り上げられた街だということです。

「財政や土地に余裕があるわけではない」という謙虚な言葉の裏側に、今ある資源を最大限に活かし、官民が手を取り合って街を盛り上げようとする熱量を感じました。私たち「ニホンノチカラ」も、こうした地域の方々の情熱に寄り添い、三島が持つ多層的な魅力をさらに広く、世界へと発信していくお手伝いができればと強く願っています。

三島の皆さん、貴重なお時間をありがとうございました。

源兵衛川の綺麗な水で夏は蛍も。

三島市の情報まとめ

静岡県東部、富士山の南麓に位置する人口約10万1千人の都市。古くから東海道の宿場町、三嶋大社の門前町として栄え、「水の都」として知られる。富士山の湧水が市街地を流れ、柿田川などの豊かな水資源を背景に、農業や工業が発展。新幹線三島駅を核とした交通の要所であり、東京方面のベッドタウンとしての側面と、伊豆・箱根への玄関口としての観光拠点の側面を併せ持つ。

  • 産業: 観光業、サービス業、製造業、農業がバランスよく発展。特に箱根西麓での農業が盛ん。

  • 文化・観光: 伊豆国一宮「三嶋大社」、日本一長い歩行者専用吊り橋「三島スカイウォーク」、国の天然記念物「楽寿園」など。

  • グルメ: 富士山の伏流水で締めた「うなぎ」、三島馬鈴薯(メークイン)を使用した「みしまコロッケ」、箱根西麓三島野菜。

今回お話を伺った方

三島市役所 チーム三島の皆様 今回、お忙しい中で対応してくださったのは、商工観光まちづくり課の責任者を含むお二人と、政策企画課のご担当者様の計3名です。三島市は、行政と民間、そして商店街の距離が非常に近く、三島大祭やロケ誘致など「街をあげての盛り上げ」に定評があります。インタビュー中も、三島の魅力を語る皆さんの言葉からは、宿場町時代から続く「外から来る人を温かく迎え入れ、共に楽しむ」という三島市民特有のホスピタリティと、この街の「総合力」に対する確かな自負が強く伝わってきました。

筆者プロフィール

福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。

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