お茶の香りに包まれた台地と、受け継がれる茶業の今
牧之原市(静岡県)ーー1718ニホン探索(105/1,718)
牧之原市内には至る所に茶畑が。
全国の市町村を自ら訪れ、その地域ならではの隠れた宝や、未来に向けて挑戦する人々のストーリーを掘り起こしていく「1718ニホン探索」。 105番目の訪問地に選んだのは、日本屈指のお茶どころとして名高い静岡県牧之原市です。
今回は、町全体に広がる茶畑の風景や、お茶産業の現在地、そして市のご担当者様が教えてくださったお茶以外の多彩な魅力について、現地でお話を伺してきました。
市内には、車を走らせると、視界のいたるところに美しい緑の茶畑が広がり、心地よいお茶の香りが鼻をくすぐる。どこを向いても茶畑とお茶工場が広がる牧之原市は、まさに「お茶の町」の名にふさわしい場所だ。緑豊かなお茶の大地で、私は牧之原の茶業が歩む現在地と、未来へ向けた挑戦に触れることになった。
訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。
Yo, 静岡のSouth West 茶の香りに揺らすぜ 相良・榛原、繋ぐGroove 牧之原から世界へDrop! 東名降りたら目に飛び込む Green 見渡す限り続くぜ Tea field 全国有数の広さ誇る茶畑 ここで育った命の糧(かて) 急須で淹れる極上のDeep 一服すりゃ飛ぶぜ、まじでGood feel だけどお茶だけじゃねえんだ、この街 海風感じて進むぜ真っすぐ真面目に 牧之原、茶畑のOcean breeze サーフボード抱えて行くぜ Beach 田沼意次の魂(スピリット)胸に秘め この街のVibe、まじで半端ねえ うまいお茶飲みてぇなら、どっこい来いよ 相良の海から吹くぜ、いい風 そうら、行くだ、牧之原! 道の駅寄ってみな、お茶づくし ジェラートにラテ、甘い誘惑に夢中だし 舌鼓打つぜ、まじでたまらん味 お茶のフルコース、味わうこの街 だが振り返れば歴史の重み 江戸の改革者・田沼意次の生誕地 古いだけじゃねぇ、時代を切り開く その遺伝子、俺らが今に引き継ぐ 荒波立つ海岸、サーファーの聖地 太平洋のうねり、全身で感じるぜマジ 「ら、ら、ら」語尾につくこの方言 地元の誇り乗せて、響かせろ叫び声 牧之原、茶畑のOcean breeze サーフボード抱えて行くぜ Beach 田沼意次の魂(スピリット)胸に秘め この街のVibe、まじで半端ねえ うまいお茶飲みてぇなら、どっこい来いよ 相良の海から吹くぜ、いい風 そうら、行くだ、牧之原! チャチャッと淹れたお茶持って 海風に吹かれて歩くぜ 牧之原プライド、鳴り止まない Beat Peace out.
お茶産業の現在地:大規模化と多様化の模索
静岡を代表する茶産地である牧之原市。市役所のお茶特産課での対話では、茶園の減少や農家の高齢化といった全国的な課題と向き合いながらも、たくましく進化を続ける茶業の今が語られた。
かつての広大な茶園景観を維持しつつ、現在は一経営体あたりの栽培面積を拡大する「集約化」や法人化が着実に進んでいる。一方で、大手飲料メーカーの関連施設による安定供給の支えがあるだけでなく、北部の生産者たちを中心とした小回りの利く「多品種少量生産」も健在だ。牧之原茶の代名詞でもある「深蒸茶」のような緑茶にとどまらず、発酵させる「和紅茶」、半発酵の「烏龍茶」、後発酵のプーアル茶、さらに碾茶(てん茶)の生産や釜炒り茶への挑戦など、時代のニーズにしなやかに適応する柔軟性こそが、今の牧之原の茶業の底力となっている。
深蒸茶「さがらやぶきた」の相良物産
荒畑園
お茶だけじゃない!牧之原を彩る多彩な魅力
「お茶の町牧之原には、お茶以外にも魅力が結構あるんです!」――市のご担当者様がそう笑顔で教えてくれたように、この街には茶畑の広がる大台地だけでなく、訪れる人を惹きつける多彩な地域資源が息づいている。
その一つが、海岸エリアを中心に広がるマリンスポーツの文化だ。美しいビーチでのサーフィンはもちろん、日本初の大型サーフィン用ウェイブプール「静波サーフスタジアム(静波サーフスタジアム PerfectSwell®)」なども展開され、全国から多くの愛好家やアスリートが集う活気あるエリアとなっている。さらに、歴史を紐解けば、この地はかつて相良藩主として手腕を振るい、近年の大河ドラマでも注目を集めた政治家・田沼意次ゆかりの地としても知られている。お茶の香る台地から一歩足を伸ばせば、豊かな自然と歴史が重なり合う深いドラマに出会えるのも、牧之原の大きな魅力だ。
静波サーフスタジアム PerfectSwell®
静波海水浴場
牧之原市史料館にある「田沼意次像」
観光資源としての広がりと、地域を巡る楽しみ
お茶を中心とした観光面での充実ぶりも見逃せない。喜作園が運営する「グリーンピア牧之原」では、お茶の製造工程の見学や茶摘み体験ができるほか、ほうじ茶の濃さが選べるチョコレートやアイスクリームなど、革新的なスイーツが旅の疲れを癒やしてくれる。
さらに、道の駅の飲食店では、茶そばをはじめ、「お茶入りのタルタルソース」、プリン、シュークリーム、さらにはラーメンのスープやクレープに至るまで、ユニークなお茶グルメが観光客やインバウンドを魅了している。こうしたお茶を軸にした多彩な食の楽しみと、海や歴史といった周辺の魅力が組み合わさることで、牧之原は「体験型の観光地」としてのポテンシャルを大きく広げているのだ。
「道の駅さらっと牧之原」ではお茶のグルメが多数。
受け継がれる茶業の情熱と、牧之原の未来
広大な茶畑を守り抜きながら新しい茶づくりに挑むお茶の情熱と、それだけに留まらない豊かな地域資源の数々。一歩一歩着実に未来を切り拓いていく生産者や地域の人々の姿には、計り知れないエネルギーが宿っていた。
お茶の香りが優しく包み込むこの街で、私は地域の魅力を再発見する素晴らしい時間を過ごすことができた。これからも全国各地を巡りながら、そこに息づく素晴らしい「宝」をしっかりと見つめ、発信し続けていきたい。
取材日:2026年10月23日
グリンピア牧之原では、工場見学や茶摘み体験も出来る。
牧之原市の情報まとめ
静岡県の中南部、大井川の東岸から牧之原台一帯に位置する市。平成17年の合併により誕生し、日本屈指の大茶園地帯として知られるほか、歴史的な背景や温暖な気候風土を活かした観光・マリンスポーツも盛んだ。
産業: 基幹産業である茶の栽培・加工において、大規模経営・法人化と、和紅茶や碾茶などの多角化が進行。さらに、恵まれた海岸線を活かした観光業なども重要な柱となっている。
文化・観光: 日本一の茶園景観を誇る「牧之原台地」での体験型施設のほか、サーフィンの名所や田沼意次ゆかりの歴史資源など、多彩な魅力を持つ。
グルメ: 深蒸し茶や各種抹茶スイーツに加え、お茶を活用した先進的な加工食品(お茶入りタルタルソースやラーメン等)、駿河湾の新鮮な海の幸など、多彩な食文化が魅力。
今回お話を伺った方
牧之原市役所 お茶特産課 ご担当者様 牧之原市の基幹産業である茶業の振興と発展を支える行政の担当者。茶園面積の動向や生産現場の構造変化、大規模化・法人化の潮流に精通するとともに、お茶にとどまらない地域の多彩な魅力や観光資源の発信に尽力している。
筆者プロフィール
福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県新居浜市生まれ。高校卒業後に渡米し、University of Central Oklahoma へ入学。帰国後、株式会社ハイクロレラ(現エポラ)専務取締役として西日本を中心に営業活動に従事し、地方の課題と可能性を肌で知る。2005年8月、株式会社ユーグレナに共同創業者3人の一人として参画。取締役事業統括責任者として事業の立ち上げとマーケティング全般を管掌し、東証マザーズ・東証一部(現プライム)上場を果たす。創業20年・自身50歳の節目となる2025年11月、「地方発、日本再生!」をミッションに株式会社ニホンノチカラを設立し、全国1,718市町村を自らの足で巡る「1718ニホン探索」を開始。現在、株式会社ユーグレナ共同創業者/顧問、愛媛県新居浜市戦略アドバイザーなども務める。日本マーケティング大賞 第7回奨励賞受賞。
YouTube :@nihonnochikara1718
X(旧Twitter):@nihonnochika














