四国初の挑戦!行政コストを抑えて地域の絆を結び直す「さぬき結びナビ」の可能性

さぬき市(香川県)ーー1718ニホン探索(91/1,718)

さぬき市(香川県)の現地取材写真

琴林公園にある「願い橋」

さぬき市(香川県)の現地取材写真(2)

市の公式キャラクター「さっきー」

全国1,718自治体の現場へ自ら足を運び、地域の可能性と隠れた宝を発掘する旅「1718ニホン探索」。91番目の訪問先として訪れたのは、香川県東部に位置するさぬき市です。

今週は香川県周辺の自治体を精力的に巡っています。私が元営業出身の経営者として一貫してこだわっているのは、「答えは現場にある」ということです。実際に街の空気を吸い、現場で汗を流す方々の生の声を聴かなければ、本当の地域課題も見えてきません。

今回、さぬき市役所で取材させていただいたのは、プロジェクト推進室のご担当者様。四国で初となる画期的な市民ポータルサイト「さぬき結びナビ」に注目し、その最前線でお話を伺いました。

訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。

ようこそおいで、結願(けちがん)の街へ
波音混じりの、この風に乗って
さぬき市から届ける Story、ここから始めよわ!

白装束の足音 響く山道
八十八番 大窪寺(おおくぼじ)へ続く旅路
長かった遍路 結ぶこの場所
納める菅笠(すげがさ) 満ちてく感謝の心
津田の松原 白砂青松(はくしゃせいしょう)
走り抜けるチャリ 潮風が最高
「なんしょんな?」って声かけ合う夕方
海も山も全部 ここが俺らのホームグラウンド

大串自然公園 見下ろすワイナリー
瀬戸内のブルー 染まるパノラマに
穏やかな波 ずっと見てられるけん
「あしたも晴れやな」って笑い合えるけん
古き良き景色 守り抜く一方で
新しい繋がり 手のひらにぎゅっと
四国初「さぬき結びナビ」ひらけば
地域の情報 すぐに届いとるけんね!

ここがさぬき市 結びの街(結びの街!)
長い旅路の 終わりと始まり(始まり!)
オンラインもリアルも ぜんぶ繋がって
心あったかいけん ほっこりしてって
うどんを啜って 笑顔交わそう
「おいでんまい!」この場所で待っとるよ
未来へ踏み出す Sanuki Step
ずっとずっと 大切なマイタウン!

腹が減ったら 門前の打ち込みうどん
湯気の向こう 滲む温もりの温度
お接待の文化 息づく空気
「よう来たな」のひと言で 解ける緊張
みろく自然公園 緑のトンネル
春の桜 秋の紅葉 季節を巡る
スマホ片手に チェックする掲示板
「結びナビ」で知る 今日のイベント情報
世代を越えて 手を取り合うバイブス
ここはいつだって 帰ってこれる場所

夕暮れの大串 茜色に染まる空
遠くの島影 明日を照らし出す
旅を終えた人も これから歩き出す人も
この街の光が 背中を押してくれるけん

ここがさぬき市 結びの街(結びの街!)
長い旅路の 終わりと始まり(始まり!)
オンラインもリアルも ぜんぶ繋がって
心あったかいけん ほっこりしてって
うどんを啜って 笑顔交わそう
「おいでんまい!」この場所で待っとるよ
未来へ踏み出す Sanuki Step
ずっとずっと 大切なマイタウン!

ほら、大串の夕日も綺麗やけん見ていきまい。
結願の先にある 次のストーリーへ。
さぬき市で待っとるけんね!

デジタルが紡ぐ、新たな「地域の回覧板」

現代の日本が直面している人口減少や少子高齢化、そしてオンライン化の進展。これらは利便性をもたらした一方で、地域社会における人と人とのリアルなつながりを急速に希薄化させています。かつてはスーパーの掲示板や回覧板、近所の寄り合いで自然と共有されていた地域の出来事が、いまや共有されにくくなっています。

そうした課題に一石を投じるべく、さぬき市が2026年5月に運用を開始したのが、官民協働のポータルサイト「さぬき結びナビ」です。

最大の特徴は、行政からの一方的な情報発信にとどまらず、市民自身が部活動やサークルの仲間募集、発表会、地域の夏祭りや盆踊りといったイベント情報を自由に投稿できる点にあります。いわば、デジタル空間に誕生した「現代版・地域の回覧板」です。

取材時、担当者の方に運用の手応えを尋ねると、「本音を言うと、まだ投稿数も想定より少なく、本格的な盛り上がりはこれからです」と率直に明かしてくださいました。しかし、運用開始から約4ヶ月という立ち上げ期において、地元のラーメン店が「冷やし中華始めました」と投稿したり、公民館の「流しそうめん交流会」や地域の食堂イベントが掲載されるなど、着実に草の根の息吹が芽生えています。

さぬき市(香川県)の現地取材写真:デジタルが紡ぐ、新たな「地域の回覧板」

大串自然公園

さぬき市(香川県)の現地取材写真:デジタルが紡ぐ、新たな「地域の回覧板」(2)

大串自然公園から眺める瀬戸内海の島々

さぬき市(香川県)の現地取材写真:デジタルが紡ぐ、新たな「地域の回覧板」(3)

さぬき市野外音楽広場 テアトロン

行政コスト極小化モデルと、見えてきた改善のヒント

私がこの取り組みで特に素晴らしいと感じたのは、その持続可能なビジネスモデルです。

サイト運営は株式会社サイネックスが担い、条例違反や不適切表現がないか投稿を約3日間かけてチェックする審査体制を構築。そして運営費用は、地元のスポンサー企業の広告費によって賄われています。つまり、行政としてのシステム開発・運用コスト負担を極限まで抑えながら、市民プラットフォームを実現しているのです。財政規模が限られる地方自治体にとって、極めて実践的で参考になるモデルケースだと言えます。

一方で、持続性を高めるためには「市民の導入率と利用率の向上」が欠かせません。利用者が増えなければ、協賛する市内企業への還元も弱まってしまうからです。

対談の中で、私は他自治体で成果を上げている事例を紹介させていただきました。例えば、千葉県市川市の地域通貨「ICHICO」や健康ポイント「Aruco」のように、日々の歩数等の健康活動に対してデジタルポイントを付与し、市内店舗で使える仕組みです。紙の商品券から一歩進め、インセンティブとポータルを連携させれば、参加へのハードルは一気に下がります。また、奈良県三宅町が副業クラウドを活用して外部プロ人材を呼び込んだように、柔軟な民間の知恵を組み込むことも有効でしょう。

さらに実際の画面を拝見しながら、「求人情報」というタブの中に企業の採用情報と趣味のサークル募集が混在しているUI(ユーザーインターフェース)の課題についても意見を交わしました。現在は初年度契約の都合上フォーマットの即時変更は難しいとのことですが、次年度に向けて「仲間募集」といった誰もが親しみやすいカテゴリーへの分離を検討するなど、市民目線での改善に前向きな姿勢を示してくださいました。

四国初の試みだからこそ、ここでの試行錯誤と成功は、必ずや四国全域、そして全国の自治体にとっての道標になります。人と人との温もりを取り戻すためのデジタルな挑戦を、私も引き続き伴走しながら見守っていきたいと思います。

さぬき市(香川県)の現地取材写真:行政コスト極小化モデルと、見えてきた改善のヒント

四国お遍路 86番札所「志度寺」

さぬき市(香川県)の現地取材写真:行政コスト極小化モデルと、見えてきた改善のヒント(2)

三木町出身の平賀源内生家

さぬき市(香川県)の現地取材写真:行政コスト極小化モデルと、見えてきた改善のヒント(3)

さぬきワイナリー

さぬき市の情報まとめ

香川県の東部に位置する、人口約4万3千人の都市。北は風光明媚な瀬戸内海に面し、南は讃岐山脈を望む自然豊かな地で、四国八十八箇所霊場の第86番「志度寺」から結願(けちがん)の地である第88番「大窪寺」を擁する「結願のまち」として広く知られています。

産業:平野部での農業や沿岸部での沿岸漁業・養殖業が盛んで、特にカキやハマチの養殖が有名です。また、電気機械や金属加工などの製造業拠点も立地しています。

文化・観光:お遍路の終着点である結願寺・大窪寺や、江戸時代の奇才・平賀源内生誕の地としての歴史資産が豊富。津田の松原などの風光明媚な景勝地も多くの観光客を惹きつけています。

グルメ:名物の「讃岐うどん」はもちろん、冬場に志度湾周辺で味わえる新鮮な「カキ焼き」、瀬戸内の海の幸、豊かな土壌で育まれた地場野菜が親しまれています。

今回お話を伺った方

さぬき市 プロジェクト推進室 ご担当者様 さぬき市における重点施策や横断的プロジェクトの企画・立案・推進を担う部署。人口減少下における地域コミュニティの再構築や関係人口の創出を目指し、2026年5月に四国初となる官民協働ポータルサイト「さぬき結びナビ」を導入。市民参画型のまちづくりを最前線で推進している。

筆者プロフィール

福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。

福本拓元(株式会社ニホンノチカラ代表)