大地に刻まれた地球の記憶と「美祢力」の覚醒。世界ジオパークの街が仕掛ける、誇り高き地域再生
美祢市(山口県)ーー1718ニホン探索(78/1,718)
美祢市 篠田洋司市長(左)
2026年4月に「ユネスコ世界ジオパーク」に市内全域が認定された(写真は秋吉台)
78番目の訪問地として降り立ったのは、山口県美祢(みね)市。 私にとって美祢市は、妻の故郷でもある非常にゆかりの深い場所です。最近では自身の故郷である愛媛県新居浜市よりも足を運んでいるのではないかと思うほど、個人的にも深い馴染みと愛着を感じている街でもあります。
今回対談させていただいたのは、美祢市長の篠田洋司(しのだ ようじ)さん。 「美祢力向上宣言。」を掲げ、市民が地域に誇りを持ち、全世代が生き生きと健康に暮らせる未来を目指して熱い情熱を注がれているリーダーです。地球規模の壮大な歴史と、市民の目線に寄り添った先進的な政策が交差する美祢市の現場で、地方創生の新たな希望の形を伺ってきました。
訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。
山口の真ん中、カルストの街。うちらのHome、美祢市へようこそ! 響かすMicrophone。緑と石灰石(いし)のCity、風に乗せる街のStory。Check it out! 市役所前、ドカンと構えるSL 時代を越えて今も夢を運ぶエンジン 秋吉台を吹く風、広がる大地 秋芳洞へ降りりゃ、太古の記憶と合致 ド迫力サファリでライオンとEye Contact 白糸の滝、マイナスイオンでリセット 大岩郷の巨石、自然のミステリー セメント工場の煙突、誇り高きHistory そして世界が認めたカルストの奇跡 「ユネスコ世界ジオパーク」刻む新しい歴史! 誇ろーや美祢力!未来へつなぐ光 カルストの大地から(Let's go!) 美祢の街から(We go!) 世界へ羽ばたく ジオパークの誇り! じいちゃんもばあちゃんも、現役でShine 一緒に歩こう、この街の未来 喉が渇いたら、別府弁天池 コバルトブルーの水、ぶち綺麗じゃろ? 美祢の美味しいもん、教えちゃるよ 美東ごぼうの香り、食感シャキシャキ 厚保(あつ)の栗は甘くて、ほっぺ落ちるっちゃ! 美祢のええとこ、もっと知ってほしいんよ 住んでみたら分かる、温かい人ばっかじゃけぇ 誇ろーや美祢力!未来へつなぐ光 カルストの大地から(Let's go!) 美祢の街から(We go!) 世界へ羽ばたく ジオパークの誇り! じいちゃんもばあちゃんも、現役でShine 一緒に歩こう、この街の未来 人口減少?負けてられんじゃろ 立ち上がる街「美祢力向上宣言」 わくわくらーくサポート、シニアのWisdom 知識と経験が街を支えるKingdom 若者もシニアも、手と手を取り合って ぶちええ街にしよう、みんなで笑って 昔ながらの煙突が見守る空の下 うちらの愛する美祢、ずっと変わらん宝 誇ろーや美祢力!未来へつなぐ光 カルストの大地から(Let's go!) 美祢の街から(We go!) 世界へ羽ばたく ジオパークの誇り! じいちゃんもばあちゃんも、現役でShine 一緒に歩こう、この街の未来 美祢の風を感じてくれ あんたもいっぺん、遊びに来てみんサイ! 美祢市、ジオパーク、Forever. ONE LOVE.
3億5千年の時を超える、世界基準のジオパークと歴史的資源
美祢市といえば、日本最大級のカルスト台地「秋吉台」や「秋芳洞」、神秘的なコバルトブルーをたたえる「別府弁天池」が全国的に有名です。
驚くべきことに、2026年4月23日、パリのユネスコ本部会議にて市内全域が「ユネスコ世界ジオパーク」に正式認定されました。世界51カ国241地域(認定当時)の仲間入りを果たした美祢市の物語は、地質学的にも極めてユニークです。
日本の多くのジオパークが「火山」や「地震」をテーマにしているのに対し、美祢市のテーマは「赤道付近のサンゴ礁群がプレートテクトニクスによって移動してきた」という、極めて壮大な地球の歴史そのもの。地質学的にも貴重な「桃の木」地層群などは、地球上の生物の大規模絶滅期を読み解く鍵として、世界中の研究者から高く評価されています。
さらに、美祢市は近代日本の発展を影で支え続けてきた産業の街でもあります。 煙の出ない高品質な無煙炭は、あの渋沢栄一氏が興した会社を礎として開発され、かつて徳山港から出荷されて海軍の軍艦燃料や戦後復興のエネルギーとなりました。
また、石灰岩の産出量は圧倒的で、「日本のビルの10棟に1棟は美祢市の石灰岩(セメント原料)でできている」と計算されるほどです。宇部市まで続く全長35kmの「日本一長い私道」は、石灰岩を運ぶためだけに機能する圧巻の産業用インフラ。美祢市は、まさに日本の国土づくりの根幹を担ってきた歴史があるのです。
「秋芳洞」は国内最大級の鍾乳洞
「秋吉台」は日本最大のカルスト台地
別府弁天池
全世代の躍動を生み出す「美祢力向上宣言」とシニア活躍
篠田市長が推進する「美祢力向上宣言」の柱の一つが、市民が自らの街に誇りを持ち、生涯健康で活躍できる仕組みづくりです。
印象的だった取り組みの一つが「みね健幸百寿プロジェクト」。市内にある2つの市立病院が持つ膨大な医療のリアルデータを活用し、地域の疾患特性を分析。単なる検診の推奨にとどまらず、市民一人ひとりにパーソナライズされた健康リスクの提示とアドバイスを行っています。
さらに、超高齢社会におけるシニア人材の有効活用として立ち上げたのが「美祢わくわくらーくサポート協議会」です。
退職したシニア層の特技やわずかな隙間時間を、人手不足に悩む地元企業や地域の仕事(スクールバスの運転や地域交通の担い手など)とマッチング。年金プラスアルファの収入を得ながら社会との繋がりを維持することは、健康寿命の延伸にも直結します。
篠田市長は「外貨としての年金に加えて、地域内でお金が回る経済の内部循環を作れば、地域経済に2〜3割のプラス効果が生まれる」と力強く語ります。シニアの知恵と活力を活かすこの取り組みは、全国のローカルエリアが模範とすべき素晴らしいモデルだと確信しました。
美祢の産業を支えるセメント工場
市役所前にあるSL
万倉の大岩郷
次世代の「故郷への愛着」を育む教育改革と関係人口の創出
人口減少へのアプローチとして、美祢市は未来を担う子供たちへの教育や、新たな関係人口の創出にも挑戦しています。
市が独自に運営する「公設塾」では、単なる教科の学習指導にとどまらず、子供たちが自ら考え挑戦する力を養うカリキュラムを展開。「挑戦の扉」「知の扉」「好奇心の扉」という3つの軸を設け、中学生自身が美祢の観光マップを作成して東京で配布するプロジェクトや、JAXAをはじめとする一流の外部講師による講義を行っています。
さらに、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)と連携協定を結び、現役大学生が1年間休学して美祢市に滞在。子供たちの身近なメンターとして学習や挑戦をサポートする取り組みは、地方の教育環境として極めて画期的です。
一度進学などで都市部へ出たとしても、少年期に「故郷で本気の挑戦をした」という誇りと愛着があれば、いつか地域へ戻り、新しい事業を興す原動力になります。
また、市外のファンを獲得する先進的な試みとして日本初の「デジタル住民票」を2,000個限定で発行し、見事完売。秋吉台の入洞料割引などのリアルな特典と組み合わせることで、実際に東京などから足を運ぶファン(関係人口)を生み出しています。
さらには、美祢・萩・長門の「北浦三市」で連携した「GO-EN(ご縁)プロジェクト」など、単独の自治体枠にとらわれない広域での人口流動の維持にも取り組まれています。
地方から日本の誇りを取り戻すために
私自身、18歳の時にアメリカへ留学し、多民族社会の中で過ごす中で「日本のものづくりの精度、自然の美しさ、人々の誇り高き美徳」を客観的に再認識しました。しかし同時に、国力でアメリカに大きな差をつけられている事実に悔しさを覚え、「いつか地方から日本を再生したい」という強い情熱を抱くようになりました。
世界に誇るべき3億5千年のジオパークの記憶を持ち、日本の近代化を支えた産業の底力を秘めた美祢市。篠田市長の「地域に暮らす人々が誇りを取り戻す」という覚悟と取り組みに触れ、まさに我が意を得たりという思いでした。
地方が自信を取り戻し、眠れる宝を磨き上げることで、日本全体は必ずもう一度輝くことができるとの確信を強くした美祢訪問となりました。
秋吉台サファリランドでは、マイカーで動物たちを間近で感じる事が出来きます。
美祢市の情報まとめ
山口県の西部に位置する、人口約2万人の都市。市内全域がユネスコ世界ジオパークに認定されており、日本最大級のカルスト台地「秋吉台」や「秋芳洞」をはじめとする壮大な自然景観を有します。古くから無煙炭や石灰岩の産地として日本の産業発展を支えてきた歴史を持ち、豊富な自然資源と歴史的遺産が息づく街です。
産業:良質な石灰岩の採掘・セメント製造が基幹産業であり、宇部市へと続く「日本一長い私道」を所有。また、美祢の気候を活かした梨、栗、ごぼうなどの農業も盛んです。
文化・観光:日本屈指の大鍾乳洞「秋芳洞」や名水百選の「別府弁天池」など、地球の歴史を体感できる観光資源が集積。世界基準のジオパークとして保全と活用が進められています。
グルメ:名産の「厚保(あつ)ぐり」や「美東ごぼう」をはじめ、名水で育まれた特産品をブランド化した「ミネコレクション」の展開に力を入れています。
今回お話を伺った方
美祢市長 篠田 洋司(しのだ ようじ)氏 山口県美祢市出身。美祢市役所にて総合政策部次長、市長統合戦略局長等を歴任後、美祢市副市長を経て、2020年に美祢市長に就任。「美祢力向上宣言。」を掲げ、全世代が生き生きと活躍できる街づくりを推進。健康データの活用による「みね健幸百寿プロジェクト」や、地域シニアの就労マッチング、中高生向けの「公設塾」開設、世界ジオパークの活用など、持続可能な地域社会の構築に向けた多角的な改革を牽引している。
筆者プロフィール
福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。
















