「知られざる超穴場」に眠るポテンシャル──長野県山形村で見つけた地方再生への道筋

山形村(長野県)ーー1718ニホン探索(62/1,718)

アイシティ21は人口8,000人の街のショッピングセンターとは思えない規模の大型モール

「地方発!日本再生」。この強い使命感を胸に、私、福本拓元が全国1,718すべての市町村を自ら周る「1,718ニホン探索」の旅。今回はプロジェクトにおいて初めて、「村」への訪問となった。向かった先は、長野県の中西部に位置する山形村だ。

かつて私がユーグレナの創業前、車一つで西日本全域の地方を営業して周っていた頃から、地方の少子高齢化や人口減少の現実は嫌というほど肌で感じてきた。だからこそ、事前に山形村の予備知識を頭に入れた際も「人口8,000人台の静かな農村だろう」と、どこかでステレオタイプなイメージを持っていた。

しかし、役場を訪れて早々に自分の認識が間違っていたことを知る。 「村の人口は、ここ10年以上ずっと8,000人台を維持しているんですよ」

対応してくださった企画振興課と産業振興課の担当者の方が、誇らしげに教えてくれた。周囲の自治体が急速な人口減少に直面する中、山形村の減少ペースは驚くほど緩やかだという。実際に村内へ入る前に立ち寄った大型ショッピングモール「アイシティ21」の規模にも圧倒された。この山形村のモールは、高山や中津川、安曇野方面からも買い物客を吸い上げる圏域の「商業ハブ」として、活気を放っていたのだ。松本市や塩尻市の便利なベッドタウンとして、若者や現役世代を惹きつける確かな引力がこの村にはある。

訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。

Yeah, standard or unique? ここはオンリーワン
信州の真ん中、緑広がるワンダーランド
山形村から発信、このRhythm & Rhyme!
届けるじ、おめさんらにも!
Let's go!

鉢盛 of the Wind...(吹くだじ!) 
緑の大地が育む(育むずら!) 
山形村、ここが俺らのHometown 
離れても絶対忘れない、このTown 
泥にまみれて輝く長いもみたいに 
粘り強く、熱く生きてく毎日に 
みんなで集まって、笑い合える場所 
この街が大好きだじ、永遠に!

西を仰げば威風堂々 鉢盛山(はちもりやま)のシルエット 
恵みの水が潤す大地、ここはブレないシルエット 
松本盆地のヘリ、坂を上がれば広がる絶景 
畑一面に広がる緑、これぞ俺たちの背景 
夏が来りゃ主役の登場、真っ赤な情熱 
「ハイランドすいか」、シャリっと弾ける糖度、強烈!
一口かじれば乾きも吹き飛ぶ
この美味さ、他じゃ絶対にありえんずら?

鉢盛 of the Wind...(吹くだじ!) 
緑の大地が育む(育むずら!) 
山形村、ここが俺らのHometown 
離れても絶対忘れない、このTown 
泥にまみれて輝く長いもみたいに 
粘り強く、熱く生きてく毎日に 
みんなで集まって、笑い合える場所 
この街が大好きだじ、永遠に!

ちょっと待って、冬の主役も忘れないで? 
粘りとコクが段違い、「唐沢そば集落」をナビゲート 
すりおろすのは真っ白な長いも、ネバネバの極上 
とろろにして蕎麦に絡めりゃ、誰もが笑顔の表情 
美味しいものが多すぎて「お腹いっぱいでごいす」 
でもね、まだまだお宝があるのがこの村のチョイス 
アイシティ21で買い物、週末の定番ルート 
自然と都市がリンクする、最高に心地いいムード

鉢盛 of the Wind...(吹くだじ!) 
緑の大地が育む(育むずら!) 
山形村、ここが俺らのHometown 
離れても絶対忘れない、このTown 
泥にまみれて輝く長いもみたいに 
粘り強く、熱く生きてく毎日に 
みんなで集まって、笑い合える場所 
この街が大好きだじ、永遠に!

じいちゃんもばあちゃんも、畑で現役のPlayer
「ようおいでたな」って迎える、温かいNeighbor
都会のスピードに疲れた時は、ちょっとおいでや
坂を上れば満天の星、優しく包む夜空
ちっぽけな村? いや、中身はギッシリ
すいかみたいに詰まってる、愛がキッチリ!

鉢盛 of the Wind...(吹くだじ!) 
緑の大地が育む(育むずら!) 
山形村、ここが俺らのHometown 
離れても絶対忘れない、このTown 
泥にまみれて輝く長いもみたいに 
粘り強く、熱く生きてく毎日に 
みんなで集まって、笑い合える場所 
この街が大好きだじ、永遠に!

長いも(White)、すいかの(Green)
このコントラストが、俺たちのScene
誇りを持って歌うじ、この歌を
届いてるかい? 山形村の魂(ソウル)
Yeah... そうだじ、山形村。
Peace out. 

地元の「当たり前」を外の視点で再定義する

インタビューの中で、私は地方創生の鍵となる「関係人口」の捉え方について話を向けた。

山形村でもお試し住宅などの移住施策を展開しているが、現状は短期の「安い民泊」のような使われ方に留まってしまう課題があるという。地方への完全移住は、仕事や家族の都合も含めて都会の人間にはハードルが高い。ならば、無理に定住をゴールにするのではなく、特定の季節や毎年の週末に必ず訪れてくれる熱狂的なリピーターをいかに増やすか。年間360日のうち数日でもその町に滞在し、お金を落とし、心を寄せてくれるような「濃い関係人口」を増やしていくことこそが、これからの地方創生に不可欠だと私は考えている。

「私たちはここにずっと住んでいるので、観光地としての魅力はなかなか分からない。けれど、都会から来られた方は、この何気ない畑の風景を見て『すごくいいね』とおっしゃるんです」

担当者の方が語ったこの言葉に、地方再生のヒントが全て詰まっている。アメリカ留学時代、多民族社会の荒波に揉まれる中で初めて客観的に「日本の美しさや食、ものづくりの質の高さ」を再認識し、猛烈な可能性を感じた私の原体験と、全く同じ構造だからだ。

晴れた日には北アルプスや八ヶ岳をバックに広大な畑が繋がっている風景。地元の人にとっての「いつもの日常」は、都会で満員電車に揺られ、コンクリートに囲まれて精神的に疲弊している人々から見れば、涙が出るほど贅沢な「隠れた宝」に他ならない。

山形村は果物の生産も有名。ブルーベリー、すいか、りんご等シーズン毎に果物狩りも体験できる。

二拠点生活のフロンティアとして、村全体の価値を編集する

インタビューののち、私は村の現状を体感すべく「清水高原別荘地」へも足を延ばした。かつてはリゾートホテル「スカイランド清水」を中心に賑わった場所だが、平成7年に「スカイランド清水」閉館以降、現在は空き家の放置や管理組合の維持に苦しむなど、衰退の影が色濃く、非常に厳しい現実に直面していた。

だが、この厳しい状況を清水高原だけに限定せず、「山形村全体」という広い視野で見渡したとき、都会の現役世代を引き寄せる「二拠点生活のフロンティア」としての圧倒的なポテンシャルが浮かび上がってくる。

何より、夏の酷暑の時期でも山形村の高原エリアは最高気温が30度を超えないという気候の利点がある。松本市街地へも車で1時間かからず、上高地へのアクセスも良い。コロナ禍を経て定着したリモートワークを背景に、都会の現役世代、特に東京の給与水準をフルリモートで維持しながら地方に拠点を構えるライフスタイルへの関心は確実に高まっている。

大手のサラリーマンやパワーカップル層にとって、有名避暑地のような超一等地で新築を建てるのは敷居が高くとも、この山形村全体に眠るポテンシャルに目を向ければ、カジュアルに手が届く「二拠点生活の穴場」になり得る。都会は賃貸のまま、週末は村の静かな環境で本を読んで過ごす、そんな贅沢な時間の使い方が、ここでは実現可能なのだ。

もちろん、宿泊施設の喪失や空き家管理の仕組みづくりなど、村側には頭の痛い現実的な課題が山積している。しかし、これらを単なる「不良債権」として捉えるのではなく、ポジティブに「安くリノベーションを楽しめる二拠点生活の素材」として村全体でパッケージ化し、私たちがその魅力をプラットフォームで発信していけば、需要は絶対に掘り起こせる。白馬や軽井沢等の近隣の街が高騰していく中、ここにはまだ手付かずの可能性が眠っているのだ。

ミラ・フード館、ファーマーズガーデンやまがた等、地元の食を味わえる施設も。

民家の広間に息づく伝統と、歴史の繋がり

役場での取材の後、私は村の象徴である「唐沢そば集落」へと向かった。 驚いたのは、各店舗が文字通り「普通の民家の大広間」にテーブルを並べ、そのまま蕎麦を提供している独特のスタイルだ。高齢化と後継者不足という切実な課題がありながらも、土日はもちろん平日から県外ナンバーの車で駐車場が埋まり、わずか1時間半で売り切れてしまう店もあるほどである。村特産の高級長いもを贅沢に使った「やまっちそば」をいただいたが、みずみずしい蕎麦の香りと長芋の粘り気が絶妙に絡み合い、言葉を失うほどの絶品だった。

今回初めて訪れた「山形村」という小さな自治体。利便性の高いモールがある一方で、一歩山を登れば豊かな緑と、静かに都会人を癒やすポテンシャルを持った住環境、そして伝統の蕎麦文化が息づいていた。こうした地方に埋もれた素晴らしい物語を現代の消費者が求める形に再編集し、国内外へ届けていくこと。それこそが、私が50歳で株式会社ニホンノチカラを立ち上げた意義そのものである。

山形村が秘めるポテンシャルは、間違いなくこれからの日本を再生する大きな原動力になる。そう確信した訪問となった。

「唐沢そば集落」には、民家を活用した伝統的な蕎麦屋さんが点在しており、この村の名所となっている。

山形村の情報まとめ

長野県の中西部に位置する、人口約8,000人の村。県内で最も面積が小さい自治体の一つでありながら、松本市や塩尻市のベッドタウンとして機能しており、過去10年以上にわたり安定した人口を維持している。豊かな自然と高い利便性が融合した活気ある地域である。

産業: 標高の高さを活かした農業が盛んで、特に最高級品として取引される「長いも」のほか、ブルーベリー、スイカ、ぶどう(シャインマスカット等)の栽培が有名。また、大型ショッピングモール「アイシティ21」を擁し、広域からの集客を誇る商業ハブの側面も持つ。

文化・観光: 京都の清水寺と150年以上の深い歴史的交流を持つ村内の「清水寺」や、夏の猛暑でも30度を超えない高原地帯、村内に20箇所以上点在する歴史的な「道祖神巡り」など、ニッチで魅力的な観光資源が豊富に存在する。

グルメ: 各民家の庭先や大広間にテーブルを置いて蕎麦を振る舞う、全国的にも珍しい「唐沢そば集落」がある。特産の長いもをかけた「やまっちそば」は、平日・週末を問わず多くの県外リピーターを魅了している。

今回お話を伺った方

山形村役場 企画振興課・産業振興課 ご担当者様 長野県山形村における地域振興、移住定住政策、および観光・農業産業の活性化を牽引する。ベッドタウンとしての利便性と、唐沢そば集落をはじめとする独自の地域資源を活かし、関係人口の拡大や、次世代への文化継承、現場の課題解決に日々奔走している。

筆者プロフィール

福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ 代表取締役。1975年愛媛県生まれ。18歳で渡米し、異文化の中で「日本の価値」を再認識。帰国後、株式会社ユーグレナの創業に参画し、取締役として東証一部(現プライム)上場に貢献。「ミドリムシで地球を救う」活動に20年捧げた後、2025年、原点である地方創生を目指し「ニホンノチカラ」を創業。全国1,718市町村を巡り、地方の宝を発掘する「1718ニホン探索」を継続中。