日本一の湯量と地球の鼓動を感じる街、静岡県伊東市

伊東市(静岡県)ーー1718ニホン探索(5/1,718)

5番目の訪問地は馴染みのある伊東市

「1718ニホン探索」プロジェクト、5番目の訪問地として私が降り立ったのは、静岡県伊東市です。伊東といえば、私自身も家族で何度も訪れている馴染み深い場所。今回は改めて「探索者」の視点で、伊東市役所の観光課の方にお話を伺ってきました。

訪問先のオリジナルソングを作っています。ぜひブログと共にお楽しみください。

日本屈指の湯量を誇る「温泉の街」の底力

伊東駅に降り立ち、まず感じるのはどこか懐かしく、穏やかな海の空気です。意外と知られていない事実かもしれませんが、伊東市は温泉の湧出量が静岡県内でナンバーワン。全国的に見ても有数の湯量を誇ります。

「熱海よりも多いんですよ」と観光課の方が誇らしげに語る姿が印象的でした。伊東では、特定の地区名(例えば〇〇温泉といった細分化)をあまり使わず、市内に湧く豊かなお湯を総称して「伊東温泉」と呼んでいる点です。まさに街全体が大きな温泉宿のような、包容力を感じます。

しかし、観光のプロが語る伊東の真の魅力は温泉だけではありません。「伊東は、温泉街というよりも『ジオパーク』としての自然の雄大さが売りなんです」という言葉に、深く納得しました。市域の約44%が「伊豆箱根国立公園」に指定されており、あの独特な山容の大室山や、断崖絶壁が続く城ヶ崎海岸など、地球の息吹を間近に感じられるスポットが目白押しです。

大室山から眺める伊東市市街地

「映え」と「伝統」が共存する観光の今

お話を伺う中で、現在の観光トレンドも見えてきました。最近の伊東で特に熱いのが「小室山」です。山頂に新しくできたスタイリッシュなカフェは、SNSを通じて若者世代に大人気だとか。私も実際に見ましたが、空と海が溶け合うような絶景はまさに「映え」そのもの。

一方で、世界遺産にも通ずるような大室山の人気は凄まじく、最近ではインバウンド客でオーバーツーリズム気味になるほどだそうです。土日平日に関係なくバスが満杯になるというお話を聞き、地方が持つ「本物の資源」の引き出しの強さを再認識しました。

ただ、課題も見えています。それは「観光動線」の問題です。伊東の魅力は自然の雄大さゆえに各地に点在していますが、移動は車が中心。免許を持たない若者や外国人観光客にとって、バスの本数の少なさや移動の不便さは、隣の熱海市と比較した際の弱点になっているとのことでした。この「ラストワンマイル」をどう埋めるかが、インバウンドの需要を狙う他の地方都市含めた大きな課題と言えるかもしれません。

大室山頂上から眺める火口跡

大室山から見える富士山

漁師の知恵が詰まった「干物」と「うずわ」

食についても、興味深いお話を伺いました。伊東の海岸沿いには多くの干物屋さんが軒を連ねていますが、これはかつて新鮮な魚が豊富に獲れた時代、長期保存するために生まれた「漁師の知恵」の結晶です。今では「伊東の干物」としてブランド化が進み、朝早くから営業する店では、観光客が朝食に焼きたての干物を楽しむという素晴らしい文化が根付いています。

さらに、地元ならではの味として教えていただいたのが「うずわ飯」。ソーダガツオを細かく叩き、青唐辛子と一緒に食べる漁師飯です。最後はお茶漬けにするのが伊東流。私もまだ食べたことがなかったので、次回の探索では必ず食そうと心に決めました。

探索を終えて:地方から「誇り」を再興する

今回のインタビューを通じて、伊東市が持つ「自然」と「お湯」という圧倒的なポテンシャルを再確認しました。別荘地の空き家増加といった課題はありつつも、新しい感性を取り入れた施設(小室山のカフェや大型施設「奏の森」など)が芽吹き、インバウンドの熱狂も生まれています。

私がアメリカ留学時代に感じた「日本の価値」への自信。そしてユーグレナ時代に全国を歩いて確信した「地方の宝」。伊東にはその両方が詰まっています。この素晴らしい資源を、もっと滑らかに、もっと多くの人に届ける仕組みを作ること。それが「ニホンノチカラ」の役割だと、改めて気を引き締めました。

伊東の皆さん、熱いお話をありがとうございました。次は大室山の「山焼き」を狙って再訪したいと思います!

訪問日:2026年2月4日(水)

城ヶ崎海岸の吊り橋

おみやげ物は伊東マリンタウンで

伊東市の情報まとめ

静岡県の東部、伊豆半島の東海岸に位置する、人口約6万3千人の観光都市。平安時代から続く歴史ある温泉地であり、静岡県内最大の湧出量を誇る「伊東温泉」が有名です。また、ユネスコ世界ジオパークに認定された「伊豆半島ジオパーク」の要所でもあります。

産業:観光業が基幹産業で、宿泊業や飲食業に従事する市民が非常に多い。また、相模灘に面した地理的条件を活かした水産業も盛んで、特に干物の加工販売は全国的な知名度を誇ります。

文化・観光:国の天然記念物「大室山」や「城ヶ崎海岸」など「伊東八景」と呼ばれる景勝地が点在。伊豆高原エリアには多くの美術館や体験施設が集まり、冬の風物詩である「伊豆ぐらんぱる公園」のイルミネーションは全国的な人気を博しています。

グルメ:名産品は種類豊富な「干物」と「金目鯛」。また、伊東独自の漁師飯であるソーダガツオを使った「うずわ飯」は、地元の食文化を象徴する一品として親しまれています。

今回お話を伺った方

伊東市役所 観光課 ご担当者様 伊東市の観光振興を最前線で支えるスペシャリスト。温泉湧出量やジオサイトのデータから、最新のSNSトレンド、交通課題に至るまで深い知見を持ち、伊豆エリア全体の観光動向を注視しながら「自然と共生する観光地・伊東」のPRに邁進されている。

筆者プロフィール

福本 拓元(ふくもと たくゆき) 株式会社ニホンノチカラ代表取締役。愛媛県新居浜市出身。株式会社ユーグレナ共同創業者として東証プライム上場を果たす。2026年より地方創生を目指す起業家として、「1718ニホン探索」プロジェクトを開始。全国1,718市町村を自ら回り、地域のリーダーとの対談を通じて、日本の可能性と課題を世界に発信している。